◆国内男子プロツアー<JAPAN PLAYERS CHAMPIONSHIP by サトウ食品 6月23日~6月26日 西那須野カントリー俱楽部(栃木県)7036ヤード・パー72>
男子プロゴルフの「JAPAN PLAYERS CHAMPIONSHIP by サトウ食品 2022」最終日が行われ、前日1打差の2位につけていた稲森佑貴が65で回り、通算23アンダーの逆転優勝で今季2勝目を飾った。同じく65をマークした大西魁斗が1打差の2位に食い込み、首位でスタートした宮本勝昌は2打差の3位に終わった。
勝負を分けた5メートルのバーディパット
18番のグリーン上まで優勝の行方が見えない大混戦。22アンダーで首位に並んでいた稲森と、21アンダーで追う宮本はともにピン奥に2オン。似たようなスラインスラインのダウンヒル、約5メートルのバーディパットを残した。
ラインを見せてもらえる分、後から打つ方が有利な場面。この時の様子を、稲森はホールアウト後の放送席で振り返った。「宮本さん自身も『俺から行こう』みたいな感じでした。僕も正直、どっちが長いか分かんないんですけど…」。
宮本の人の良さを如実に表すやり取りの後、先に打った宮本のパットは、打ち出したラインから右に切れて行き、外れた。稲森が言う。「あそこまで切れるようには見えなかったんです。思ったより右に切れたんで、もうちょっと、読んだ方がいいのかなと思い、ボール1個(カップの左を狙う分)に、あとボール半個分を付け加えたような感じ」とラインを読んでアドレスに入る。決めれば優勝のパットは読み通りのラインを描き、左縁からカップに消えた。
「お前を泣かせる」と宣言して打ったウィニングパット
こぶしを天に突き上げ、ガッツポーズを決めた稲森よりも、派手に喜びを爆発させたのがキャディの芳賀和希さんだった。厳しい優勝争いの中、前向きな芳賀さんに稲森もかなり助けられたという。「9番でボギーを打って流れが一変した時にも、『気持ちを切り替えて行こう』と前向きに言ってくれて。僕としてはすごく後押しされた感じでした。前向きに前向きに、もうずっとあのテンションで、結構励ましてもらってたんです」。
だがそんな芳賀さんが、最終18番を前にした時、急に黙りこくったという。「(17番での)3番ユーティリティーのティーショットが、ちょっと厚めに入ったんですが、ベタピンについてバーディ。そうしたらさっきまで話していたのに急に静かになったから、「どうしたの?」って聞いたんです。そうしたら、『(優勝は)初体験だから緊張してきた』って言うんです。18番のティーショット、セカンドショットを打った後には、『もう、(優勝して)泣く準備はできている』って言うんで、パターをする前に『なるほど。じゃあ分かった。お前を泣かせる』って言ったんです」。
18番グリーンで予告通りキャディが号泣
このあと、芳賀さんは予告通り?18番グリーンで号泣。稲森はその肩をがっちり抱いて、労をねぎらった。それは今年の全米オープン最終日、感涙にむせぶキャディのビリー・フォスター氏と優勝したマシュー・フィッツパトリック(英国)が、喜びを分かち合った感動のシーンを彷彿とさせるものだった。
「勝っても泣かないんですが、(芳賀さんは)この時本当に震えていて、もらい泣きしそうになりました。大混戦の中で優勝できて本当にうれしいです。キャディさんの初優勝もかかっていて、喜んでもらいたいというのも目標の1つだったんで、それが達成できて良かったなと思います」。
正確なドライバーに加え、頼れる相棒とのパートナーシップにも磨きがかかった稲森は、これで早くも今季2勝目。日本オープン2勝を含むツアー通算4勝目を飾ったとあって、今後の活躍もさらに期待できそうだ。