◆国内女子プロツアー<ブリヂストンレディスオープン 5月18日~5月21日 中京ゴルフ倶楽部 石野コース(愛知県) / 6573ヤード・パー71>
2年連続年間女王タイトルに向けて、山下美夢有が本領を発揮した。JLPGAツアー『ブリヂストンレディスオープン』最終日は、単独首位で臨んだ山下が、6バーディー、ノーボギーの完璧なゴルフで独走。2位の岩井明愛に7打差をつける圧勝でシーズン2勝目を挙げ、年間女王を決めるメルセデスランキングでも申ジエを抜いてトップに躍り出た。
勝っても貪欲!海外へも意欲
付け入るスキのない“女王のゴルフ”だった。
今シーズンも「賞金女王宣言」!?山下美夢有が金箔ソフトとスマイルショット
同じ最終組で回ったのは、前週、プレーオフで激突した岩井ツインズの姉・明愛と、賞金女王を2度経験している実力者の鈴木愛。だが、「変わらず目の前に一打に集中しました」と、自分のプレーだけを追いかけた。
前週は、明愛、千怜の岩井ツインズとの3人のプレーオフ。2ホール目でバーディーを取った千怜に敗れた。「負けて悔しかったですけど、切り替えて今週やっていたのでまずは優勝できてうれしいです」と、笑顔を見せる。
持ち前の安定したショットの精度は上がってきたが、満足しているわけではない。「まだショートゲームの課題があるので、そこを修正してやっていきたいと思います」とあくまで貪欲だ。
メルセデスランキング首位に立ったことも、あまり気にしていない。「今年は海外メジャーにも挑戦しているので、ポイントはあまり考えていないです」というのが正直な気持ちだからだ。
昨年は、『全米女子オープン』出場の権利がありながら出なかったこともあった山下だが、今年は海外でプレーしたい気持ちが増している。それも、十分に戦える自信がついてきたからに他ならない。
マイペースでプレーして他の追随を許さない…。今年も女王に向けた山下の強さは健在だ。
岩井明愛は2週連続の負けもランキング2位に
「いやぁ、悔しいですね」。開口一番、岩井明愛は、そう口にした。
プレーオフで妹に負けた前週のリベンジをかけて、最終組で逆転を狙ったが、5つのバーディーを奪うもボギーが2つ、ダブルボギーが1つ。出入りの激しいゴルフで差を広げられてしまった。
特に1番で長いバーディーパットを決めたにもかかわらず、すぐに6メートルを入れ返した山下を絶賛。「美夢有さんが今日1日すごいプレーをしていたので、さすがだなと思います。あそこから入れてくるのはすごいですね。プレッシャーにも強いですし」と、素直に勝者を讃えた。
敗れはしたものの、2週連続で優勝争いをするのは調子がいい証拠でもある。『KKT杯バンテリンレディスオープン』での初優勝もあり、メルセデスランキングでは6位から2位に浮上。申ジエだけでなく妹の千怜も抜き、山下の次のポジションにジワリと上がって来た。
切れのいい豪快なゴルフでギャラリーを魅了しつづける岩井。妹とともにツインズの活躍は続く。
十分に見せ場を作った西村優菜
米ツアーでのプレーを経験し、爆発力に磨きがかかったことを見せたのが西村優菜だ。
昨年のQTを経て、米ツアーですでに6試合に出場し、出場順位がかかるリシャッフルでカテゴリーを上げて、今後プレーするチャンスを広げている。今回は米ツアーで試合がないことから、帰国してプレーした。
2日目を終えて首位と7打差の27位タイと平凡な位置にいた。だが、3日目に上がり5ホール連続バーディーを含む9バーディーで、8つスコアを伸ばして首位と4打差。逆転優勝も狙える位置で最終日に臨んだ。
最終日は3バーディー、3ボギーで通算8アンダー。逆転はかなわず6位タイに終わったが、それでも決勝ラウンドに入ってスコアを伸ばさなければ順位が下がる米国で、あきらめないゴルフが染みついていることをうかがわせた。
多くのギャラリーの応援に満面の笑みを見せつつも、「また成長して帰ってきたいなと思います」と、米国で待つ次の戦いに心はすでに飛んでいた。