◆海外男子プロツアー<全英オープン 7月14日~7月17日 セントアンドリュース・オールドコース(スコットランド) 7313ヤード・パー72>
桂川有人が、初出場のメジャーで大健闘している。第150回全英オープン2日目(現地時間15日、スコットランド、セントアンドリュース・オールドコース)を1アンダーでスタートした桂川は、4つスコアを伸ばして通算5アンダー。首位のキャメロン・スミス(豪)と8打差の18位タイにつけ、日本勢最高位で決勝にコマを進めた。そのほか日本勢で予選を通過したのは、通算1アンダー55位の松山英樹だけ。残りの5人は2日間で姿を消している。
日本代表の責任を胸に聖地に挑んでいる桂川有人
堅実なプレーが、好結果につながっている。
初日を4バーディー、3ボギーの1アンダー、35位タイとした桂川は、穏やかな表情を見せた2日目のセントアンドリュースにも油断せずに臨んだ。
「今日もバンカーに入れないことと、グリーンに乗せることが目標」と、1打1打を丁寧にプレーした。
出だしの1番では3パットのボギーを叩いたが、次の2番で1.8メートルを沈めてバウンスバック。フロントナイン唯一のパー5の5番では、2オンしてイージーバーディーを奪った。352ヤードの9番パー4では、1オンして2パットのバーディー。続く10番もバーディーとして、4アンダーまでスコアを伸ばす。
17番でパーオンできずに難しいアプローチが残り、スコアを落とすことも覚悟したが、絶妙に寄せてパーセーブ。大観衆が待つ18番もバーディーとして、通算5アンダーでプレーを終えた。
中学卒業後、フィリピンにゴルフ留学。日本の通信制高校で勉強する傍ら、ホームステイしてゴルフ漬けの日々を送った。アジアでの試合経験を積んだ結果は、プロ2年目の今年、アジアンツアーと共催のSMBCシンガポールオープンで2位という結果につながった。これで手にしたのが、全英オープンの出場だ。
ナイスプレーには惜しみなく拍手をくれるギャラリーには、笑顔でこたえることを心がけている。「日本代表で来ている感じ。少しでもファンを増やせるように」という23歳の若者が、どこまで躍進できるか。
松山英樹はなんとか予選通過。桂川、松山以外の日本勢は予選落ち
2021年マスターズ王者、松山英樹はなかなか思うようなプレーができず、スコアを伸ばせずに終わった。
1番、3番とバーディーが先行し、通算3アンダーまでスコアを伸ばしたが、ここからが難しかった。2組詰まっていた5番以降のスローペースにリズムを狂わされ、終盤、少し強くなった風の中、13番、16番、17番とボギーを重ねてしまう。
予選カットラインが気になるイーブンパーまでスコアを落としたが(結果的にはイーブンパーまでが予選通過)、最終18番をバーディーで締めて何とか通算1アンダー。55位タイからの巻き返しにかける。
ほかの日本勢5人は、2日間で力尽きた。2バーディー、1ボギーの金谷拓実は、通算1オーバーで1打足りずに予選落ち。初日2番で3パットしたトリプルボギーが響いた格好だ。全米オープンに続いて1打に泣き、リベンジを誓っていた。
アマチュア最後のメジャーになることを公言している中島啓太も、イーブンパーからどこまで追い上げられるかに挑んだが、2バーディー、3ボギー、1ダブルボギーと玉砕。通算3オーバーで予選落ちしている。
初日のスタート直前に繰り上げで出場が決まった星野陸也は通算4オーバー、比嘉一貴は通算5オーバー、今平周吾は通算8オーバーと、いずれも週末を待たずに聖地を去った。
キャメロン・スミスが単独首位で決勝ラウンドへ
2日目を終えて首位に立ったキャメロン・スミス(豪)は、持ち前の爆発力を発揮して、バーディーを量産した。1番からの3連続バーディーで波に乗ると、7番、8番、10番でもバーディー奪取。14番パー5では、手前12メートルの大きく左に曲がるラインを沈めてイーグルを奪い、この日8アンダーのベストフィニッシュを決めた。
通算13アンダーとしたスミスは、キャメロン・ヤング(米)に2打差をつける単独首位で週末を迎える。2022年初戦のセントリーTOCでツアー4勝目を挙げると、“第5のメジャー”と言われるプレーヤーズ選手権でも優勝。躍進のシーズンを過ごしている。全英オープンは5度目の出場になるが、2019年の20位タイがこれまでの最高位。初のメジャータイトル獲得に向けて、気持ちを引き締めた。
通算11アンダーの2位にヤング。さらに1打遅れてローリー・マキロイ(北アイルランド)と、ビクター・ホブランド(ノルウェー)が続く。そのほか、全米オープン優勝のマシュー・フィッツパトリック(米)が通算6アンダー12位タイにいる。一方、ディフェンディング・チャンピオンのコリン・モリカワ(米)は、通算1オーバーで1打及ばず予選落ちした。