次の休日、どこへ行こう。
たまには予定を詰め込まず、ただゆっくり過ごすためだけに出かけてみるのもいい。
朝は少し早く起きて、いつもより遠くまでドライブ。山の景色を眺めながら目的地へ向かい、着いたら温泉に浸かる。湯上がりには畳の部屋でひと休みして、夕食を楽しんだら、また温泉へ。
そんな何気ない時間が、思いのほか心に残ることがある。
群馬県みなかみ町の山あいに佇む「法師温泉 長寿館」は、そんな休日を過ごしてみたくなる一軒宿。
創業は明治8年(1875年)。長い年月を重ねてきたこの宿には、現代のホテルとは違う趣がある。
川端康成、与謝野晶子、若山牧水ら、多くの文人墨客にも親しまれてきた法師温泉。山あいの静けさに包まれ、自然と湯に向き合う時間が、今もこの場所に受け継がれている。
本館や別館など、歴史を感じさせる建物が自然の中に佇み、館内にはどこか懐かしい空気が流れている。
明治から続く山の一軒宿。到着した瞬間から、時間の流れが変わる

関越自動車道を降り、山あいの道を進んでいく。街のにぎわいが少しずつ遠ざかり、緑に囲まれた景色が広がってくると、目的地の「法師温泉 長寿館」に到着する。
創業は明治8年(1875年)。長い年月を重ねてきたこの宿には、現代のホテルとは違う趣がある。
本館や別館など、歴史を感じさせる建物が自然の中に佇み、館内にはどこか懐かしい空気が流れている。新しい設備や便利さを求める旅とは少し違う。建物の佇まいや、窓から見える山の景色、廊下を歩くときの静けさまで、ゆっくり味わいたくなる場所だ。
旅先では、つい「あそこにも行きたい」「これも見ておきたい」と予定を増やしてしまいがち。でも、ここでは宿に着いたら、まず荷物を置いてひと息つく。それだけで、いつもの休日とは違うスイッチが入るかもしれない。
スマートフォンを置いて、窓の外を眺める。何時にどこへ行くかを考えなくていい。そんな時間を過ごすことも、旅の立派な楽しみ方だ。
名物「法師乃湯」。浴槽の底から湧き出す、自然のままの温泉


法師温泉 長寿館を訪れるなら、一度は体験したいのが大浴場「法師乃湯」。
明治28年(1895年)に建てられた浴場は、木造の梁やアーチ形の窓が印象的。どこか洋風建築を思わせる意匠と、昔ながらの湯屋の雰囲気が重なり、浴場に足を踏み入れた瞬間から独特の空気に包まれる。
そして、この温泉の大きな特徴が「足元湧出」。一般的な温泉では、源泉から引いたお湯を浴槽に注ぐことが多いけれど、法師乃湯では浴槽の底から温泉が自然に湧き出している。
湯面を眺めていると、底から静かに湧き上がる気泡に気づくこともある。お湯が運ばれてくるのではなく、まさに温泉が生まれる場所に浸かるような感覚。湯の温度や肌触りだけでなく、その成り立ちまで含めて味わえるのが、ここならではの魅力だ。
2026年に初開催された「湯シュランアワード2026」では、法師温泉 長寿館の「法師乃湯」が三ツ星に認定された。
湯シュランが評価するのは、施設の知名度や豪華さだけではなく、私たちが実際に浸かる「浴槽に届けられた湯」の個性や価値。法師乃湯の足元湧出という特徴は、まさにその評価軸を体感できるものといえる。
温泉に詳しくなくても、難しい泉質の話が分からなくても大丈夫。昔から湧き続ける湯に身を委ねてみる。それだけで、いつもの入浴とは違う時間を感じられるはず。
入浴前に知っておきたいこと
法師乃湯は混浴で、湯浴み着の着用やバスタオルを巻いての入浴はできない。女性専用の浴場「長寿乃湯」も用意されているので、混浴に抵抗がある人はこちらを利用したい。

また、館内には「玉城乃湯」もあり、男女入れ替え制で利用できる。浴場ごとに雰囲気や設備が異なるため、滞在中にそれぞれの湯を楽しむのもよさそうだ。
湯上がりは、山の恵みを味わう。旅先の食事も楽しみのひとつ
温泉を楽しんだあとは、お腹も満たしたい。



長寿館では、山の恵みをふんだんに使い、地元の食材を中心に仕立てた季節の料理を楽しめる。季節ごとに献立が変わるため、訪れる時期によって違った味わいに出会えるのも魅力だ。
日常の食事なら、つい効率や手軽さを優先してしまうこともある。でも旅先では、料理が運ばれてくる時間も、食材の話をしながら味わうひと皿も、いつもより丁寧に楽しめる。
「これ、おいしいね」
「次は違う季節に来てみたいね」
そんな会話が自然に生まれるのも、旅のいいところ。
日帰り利用では、入浴と食事を組み合わせた昼食休憩プランも用意されている。上州麦豚の陶板焼きを含む法師御膳や、上州牛ステーキ丼など、食事を目的に立ち寄る楽しみ方もある。利用条件や料金、予約の要否はプランによって異なるため、出かける前に公式サイトで確認しておこう。

旅の予定は、少ないくらいがちょうどいい
せっかく遠くまで来たのだから、周辺の観光スポットも巡らなければ。そんなふうに考えることもあるけれど、長寿館を訪れる日は、あえて予定を少なくしてみたい。

朝は少し早めに起きて、山の空気を感じながら一日を始める。温泉に入って、食事をして、部屋でのんびり過ごす。気が向いたら、もう一度湯へ。
普段なら、何もしない時間に少し落ち着かなくなるかもしれない。でも、旅先ではその時間こそが贅沢になる。
ゴルフ好きなら、いつものラウンドとは違う休日の過ごし方として、温泉を目的に出かけてみるのもいい。朝からコースを回ってアクティブに過ごす日もあれば、クラブを置いて、ただ湯に浸かる日があってもいい。
もちろん、ゴルフをしない人にとっても、温泉を目的にした週末旅は魅力的な選択肢。パートナーと一緒に出かけるのもいいし、気ままなひとり旅にするのもいい。
大切なのは、何かをたくさん体験することだけではなく、自分が心地よいと思える時間を過ごすことなのかもしれない。



次の休日は、山の奥の一軒宿へ
法師温泉 長寿館は、便利な街中のホテルとは違う。山あいにあるからこそ、移動にも少し時間がかかる。日帰り入浴にも受付時間や休業日があり、思い立ったときにいつでも利用できるわけではない。
けれど、そのひと手間も含めて旅の楽しみにしてみたい。
次の休日は、いつもより少し遠くまで車を走らせてみる。目的地に着いたら、スマートフォンを置いて温泉へ。湯上がりにはおいしい食事を楽しみ、何気ない会話をしながらゆっくり過ごす。
特別なことをしなくても、心に残る休日はつくれる。
明日の予定を考える前に、次の休日の予定をひとつ。群馬の山あいにある法師温泉で、何もしない贅沢を味わってみてはいかがだろう。
ー施設情報ー
法師温泉 長寿館
- 所在地:群馬県利根郡みなかみ町永井650
- 日帰り入浴受付:11:00〜13:30(館内利用は14:00まで)
- 日帰り入浴料金:大人1,500円、子ども500円
- 日帰り入浴休業日:水曜日のほか、不定休あり
- アクセス:関越自動車道・月夜野ICまたは湯沢ICから
- 公式サイト:https://hoshi-onsen.com/
※日帰り入浴は休館日や清掃日など利用できない日があります。混雑状況によって受付終了が早まる場合もあるため、訪問前に必ず公式サイトまたは電話で最新情報をご確認ください。冬季は積雪が多く、12月~3月はスタッドレスタイヤの利用が推奨されています。
Written by:MEDIA MAN.
Published by:HapiGol 編集部
Photo courtesy of:法師温泉 長寿館

