浅草と聞いて思い浮かべるのは、
雷門、人形焼き、そして赤提灯。
そういう印象の街だった。
「浅草に、フレンチ焼鳥?」

友人に誘われるまで、
そんな組み合わせが存在することすら
知らなかった。
観音裏の静かな住宅街に、
その店はひっそりとあった。
乾杯の一杯は、まさかのシードル
「とりあえずビール」のつもりが、
店主にすすめられたのは
聞いたこともないお酒だった。
りんごから作られる、微発泡のシードル。
シャンパンでもビールでもない、
するりと軽やかな飲み口に、
最初のひと口で完全に心を掴まれた。
店主に聞いたら、意外な過去が

焼き場に立つのは、
女性店主・チャコちゃん。
かつてこの近くにあった、
伝説と呼ばれる焼鳥屋で
13年間、焼き場を任されていたのだそう。
「フレンチと焼き鳥を合わせるなんて」
と誰もが驚いた、その先駆けの店で
女性ひとり、腕を磨いてきたのだという。
その店がなくなったあと、
自分の店として受け継いだのが、ここ。
男性中心のイメージが強い焼き鳥の世界で、
ずっと第一線を張ってきた人だと知って、
串の味わい方が変わった。
気取らないのに、確かな贅沢

高級店でも、気取った雰囲気でもない。
けれど、いつもと違う特別な夜になる。
一人でも、友人とでも心地よく過ごせる
空気感こそが、この店の魅力なのだと思う。
知らなかった浅草、が一番の収穫

雷門も人形焼きも知っている浅草の、
知らなかった顔に出会えた夜。
イメージだけで通り過ぎていたら、
一生出会えなかった発見だった。
「知ってるつもり」の街ほど、
実は一番おもしろい。
ー店舗情報ー
店名:ちゃこーる
住所:東京都台東区浅草4-14-6
営業時間:18:00〜23:00(火曜定休)
アクセス:つくばエクスプレス「浅草駅」より徒歩10分
Written by:MEDIA MAN.








