◆海外男子プロツアー<ZOZO CHAMPIONSHIP 10月13日~10月16日 アコーディアゴルフ習志野カントリークラブ(千葉県) 7079ヤード・パー70>
20歳の久常涼、22歳の中島啓太が惜しくもトップ10入りを逃し、連覇がかかった松山英樹は40位に終わった。
日本で行われる唯一のPGAツアー、ZOZO CHAMPIONSHIPは16日に最終ラウンドを行い、通算15アンダーでキーガン・ブラッドリー(米)が優勝した。久常はブラッドリーに5打差の8位タイから、中島は6打差の14位タイから上位を狙ったが、揃って通算9アンダーの12位タイに終わった。
米ツアーの出場権を逃した久常涼は涙が止まらず
日本のゴルフファン待望の年に1度のPGAツアー。日本の選手たちにとっても貴重なチャンスは、3回目にして初めて、予定通りに日本で開催された。
タイガー・ウッズがサム・スニードに並ぶ米ツアー最多の通算82勝目を飾った2019年の第1回大会は、台風の影響で2日目にコースが水没。それ以降はコンディション不良で観客も入れず、月曜日まで順延された。2020年の第2回大会は、コロナ禍のため米国で開催。松山英樹が優勝した2021年の第3回も、観客数は1日5000人に制限されていた。
ようやく、多くのギャラリーの中で行われた今年、日本勢で光るプレーを見せたのが久常だ。
通算9アンダーの8位タイで迎えた最終日。1番をバーディーと幸先のいいスタートを切るが、なかなかバーディーが取れないままバックナインへ。
11番をボギーとするが、すぐに12番のバーディーでとり返す。通算10アンダー。だが、このままいけばトップ10入りが見えるスコアで迎えた18番パー5は、右ラフからの3打目が、ボールの下をくぐるいわゆる“ダルマ落とし”でバンカーにつかまった。
ここから3メートルに乗せたが、ボールはリップアウトしてボギー。通算9アンダーで12位タイに後退した。
トップ10に入れば、2週後のPGAツアー、バターフィールド・バミューダ選手権(10月27~30日、バミューダ・ポートロイヤルGC)への出場権が得られるはずだった。
今季、アジアンツアー4試合に出場していることでもわかるように、海外志向の強い久常はこれを目指していた。だが、最後の最後で逃してしまった。
悔しい結果となったが、来月の欧州ツアーファイナルQTから、世界への挑戦を続けるつもりでいる。
最後のチャンスを決められず、中島啓太も12位タイ
中島も、悔しい思いを味わった。
世界アマチュアランキング1位のマコーマックメダルを、男子として初めて2度受賞。マスターズ、全米オープン、全英オープンの出場も経験している。
昨年、アマチュアで優勝したパナソニックオープンにプロとして出場した“デビュー戦”は9月のことだ。これが、プロ入り3戦目。プロとして初めて挑む米ツアーに、意欲を燃やしていた。
首位に6打差の14位タイと、上位を狙うには絶好の位置。だが、久常同様、18番でトップ10入りを逃した。
バンカーからの3打目を3メートルのバーディーチャンスにつけたが、これが入らない。最終日は1つスコアを伸ばしただけで、通算9アンダー。久常と同じ12位タイに終わった。
トップ10入りまであと一歩。世界のトッププレーヤーの中で、自分の今の力を思い知る結果となった。
松山英樹はバーディーフィニッシュも40位タイ
バーディーフィニッシュで、何とかファンを沸かせることができた。
ディフェンディング・チャンピオンの松山は、大会前日のプロアマを背筋痛で途中棄権し、出場そのものが危ぶまれたが、何とか4日間をプレーした。
3日目には4アンダー「66」を出して、マスターズ王者の意地を見せたが、最終日は2バーディー、3ボギーで通算3アンダー。連覇には遠く及ばず、40位タイで大会を終えた。
2021-2022のシーズンは、1月のソニー・オープン・イン・ハワイで優勝し、最終戦ツアー選手権までプレーする安定感を見せたが、2022-2023の新しいシーズンは、これがまだ2戦目。来年に向けて試行錯誤の季節ではあるが、残念な結果となった。
PGAツアーを主戦場とするだけに、日本のファンが生で見られる機会はごく限られる。最後にファンにいいところを見せた今年の大会となった。