◆国内女子プロツアー<ヤマハレディースオープン葛城 3月31日~4月3日 葛城ゴルフ倶楽部山名コース(静岡県) 6590ヤード・パー72>
西郷真央が初日から一度も首位を譲らず、通算8アンダーで逃げ切って完全優勝を果たした。2週連続優勝でツアー通算3勝。今季出場5試合で3勝は史上最速記録となった。
最終ホールでダブルボギー “ハラハラ、ドキドキ”の3勝目
最終日、単独首位から出た西郷。「ハラハラ、ドキドキのゴルフでした」。
そのシーンが訪れたのは、3打リードで迎えた最終18番パー5。ティショットをドライバーで思い切り振りぬくと、まさかの右OB。そこから5オン、2パットのダブルボギー。通算8アンダーの1打差で逃げ切ったが、ウィニングパットは苦笑いだった。
OBには理由があった。「ディスタンスの計測ホールで、いつも(師匠の)ジャンボ(尾崎将司)さんから『ディスタンスは何位だったのか』と聞かれるので、胸を張って報告したいなと思って。雨の影響もあり、ボールとヘッドが滑ってミスショットになりました」
師匠から言われてつい力が入ったが、「さすがに次はやめておきます」と苦笑いしていた。
ただ、西郷の場合、平均飛距離(今季は240.09ヤード)の数字はそれほど重要ではない。むしろ平均ストロークは60台をキープして1位。ショットの精度は高く、アイアンとパットのスタッツも常に上位をキープしており、総合力の高さが際立っている。
世界ランキング25位に入り全米女子オープンへの出場も決定
昨季(2020-21)は優勝こそなかったが、50試合中トップ10入りが21回で、賞金ランキングは4位。いずれ爆発すると言われていた選手だが、今季は5試合で3勝と圧倒的強さを誇る。
まだシーズンは始まったばかりだが、すでに獲得賞金は6000万円を超えて賞金ランキング1位、メルセデスランキングも1位だ。 ただ、タイトル獲得が目標ではない。あくまでも「出る試合で常に上位争いしたいです。こうした難しいコンディションのなかでも、スコア伸ばしていける集中力とメンタルを高めていきたいです」と謙虚な姿勢は崩さない。
今週発表された世界ランキングで25位に入り、75位以内で決まる全米女子オープンへの出場もこれで確定。 「今季が始まる前から、海外メジャーには出場したいと思っていました」と意欲も十分だ。
優勝の瞬間でも大喜びすることもなく、涙も見せない。ツアー3勝目も通過点なのだろう。彼女はこれからもっと強くなるに違いない。