◆海外男子プロツアー<全米プロゴルフ選手権 5月19日~5月22日 サザンヒルズCC(米オクラホマ州) 7556ヤード・パー70>
今年の海外男子メジャー第2戦・全米プロゴルフ選手権の最終日は、通算5アンダーで並んだジャスティン・トーマスとウィル・ザラトリスによる3ホールトータルのスコアを競うプレーオフへ。2アンダーにまとめたトーマスが大会2勝目、通算15勝目を飾った。日本勢は松山英樹、星野陸也とも9オーバーの60位タイに終わった。
18番で自滅したペレイラ。プレーオフの末、トーマスが全米プロ2勝目
第104回目となる今年の全米プロゴルフ選手権は、最後の最後にドラマが待っていた。
2位に1打差をつけて最終18番に戻ってきたミト・ペレイラは、チリ出身初のメジャー制覇をほぼ手中に収めていたが、18番ティーショットで痛恨のミス。大きく右に押し出し、クリークにつかまってしまった。クリークの手前からの第3打もグリーン左へのミス。結局ダブルボギーを叩き、プレーオフにも加われず3位タイに終わった。ホールアウト後は、「もう少しバーディーが欲しかった。焦りがあったのかもしれない」と悔やんだ後は、「自分のプレーには満足しています」というのがやっとだった。
プレーオフは歴代王者に名を連ねるトーマスと、未勝利ながらメジャーに8回出場して5回のトップ10と大舞台に強いザラトリスの一騎打ちに。
2017年に松山英樹との接戦を制し、全米プロ初優勝を成し遂げているトーマスは、プレーオフ1ホール目の13番パー5で、ティーショットが右のラフにつかまるピンチ。クリークの手前に第2打を刻まざるをえなくなった。一方、ザラトリスはフェアウエーから216ヤードを6番アイアンで2オン狙い。高いドローボールで楽々グリーンを捉えた。トーマスは苦しい立場に立たされたが、3打目をピン手前3メートルにつけて、1パットのバーディー。2パットバーディーのザラトリスにリードを許さなかった。
2ホール目の17番パー4がキーホールとなった。トーマスの3Wがここでうなりを上げた。乾坤一擲のショットは、フェードの弧を描いてグリーンの右手前でバウンド。302ヤードを見事、ピン左10メートルの1オンに成功した。一方のザラトリスはティーショットが右にフケてバンカーのさらに右へと落ちた。
トーマスが楽々2パットのバーディーをもぎ取ったのに対し、ザラトリスはバンカー越えのアプローチを2メートルと寄せきれず2パットのパー。トーマスに1ストロークのリードを許してしまった。
3ホール目の18番、ザラトリスの第2打は傾斜に戻され、グリーンの手前に乗っただけ。このパットを決められず、万事休す。しっかりと2オンさせたトーマスは、2パットで優勝というチャンスを迎えた。このパットを手堅く寄せたトーマスはタップイン。ザラトリスが入れても1アンダーのままとあって、2アンダーのトーマスに軍配が上がった。
トーマスは優勝の瞬間、PGAのプロである父・マイクの祝福を受けると感極まって涙を流した。「信じられない1日になった。コーチが素晴らしい働きをしてくれて、キャディー(ジム“ボンズ”マッケイ氏)の力も借りて優勝することが出来た」と喜びを爆発させた。
“砂地獄”に苦戦した松山英樹、視線はすでに全米オープンへ

予選を通過した日本勢2人のうち、6オーバー55位タイからの反撃を狙った松山英樹は、2番でバーディーが先行するも、6番ではバンカーからホームラン気味のショットが出て最初のボギー。13番からはバーディーとボギーが交互に出るジェットコースターのような一日になった。結果は4バーディー、7ボギーと出入りの激しいゴルフで60位タイに沈み、「(大会には)いい状態で入って来れたと思ったんですが、良くなってきた状態をキープできる力がなかった」と悔やんだ。
バンカーに入った回数にも話が及ぶと、間髪入れずに「7回」と答えた。「いい砂の入り具合の所と、下(に砂)がなくて、クラブが傷つくぐらい(砂が)ないところがあって、状況判断もそうですけど、合わせられなかった印象ですね」と砂の量が均一でないバンカーへの対応に苦しめられた一日だった。
このあと松山は、1週おいてオハイオ州コロンバスで行われるメモリアルに出場。松山にとって、米ツアー初勝利を飾ったゲンのいい大会で、さらにその先にはメジャー第3戦の全米オープンも待っている。
「ショットの精度が求められるコースでの大きな試合が続くんで、いいショットが打てるように1週間しっかりと準備していきたい。パットも良くなりつつあるんで」と、最後は明るい材料も口にした。
星野陸也は全米オープン出場を目指しダラスへ
星野陸也は20位以内に与えられる全米オープンの出場権をかけ、36位タイからのジャンプアップを期してスタートしたが、1番ダブルボギー、2番ボギーといきなり大きくつまづいた。「風とかの急激な変化に対応できなかったのが原因。1、2番のスタートで3オーバーしてしまって、いい流れに持っていけなかった。沈んでいてもしょうがない、ともう少し早く気づけていたら」と悔やんだ。
確かに前半は41を叩いたが、最後のバックナインはパープレーの35。切り替えの早ささえ身につければ、上位進出も夢ではなさそうだ。
今大会での全米オープン出場権ゲットはならなかったが、まだチャンスはある。翌日の月曜日にダラスで行われる最終予選にチャレンジすることを決めていた。「明日、36ホール、ダラス(テキサス)で通過できるように頑張ります。練習なしの、ぶっつけ本番ですが」ときっぱり。
「メジャーの舞台でいいスコアを出せるように頑張りたい」と自分に言い聞かせるように語り、ダラスへと向かった。