◆国内女子プロツアー<リシャール・ミル ヨネックスレディス 6月3日~6月5日 ヨネックスカントリークラブ(新潟県) 6475ヤード・パー72>
岩井ツインズの妹、千怜が、契約メーカーであるヨネックスが主催する「リシャール・ミル ヨネックスレディス」で2位タイとなり、思わずうれし涙を流した。姉の明愛とともに、昨年、プロに転向した”岩井ツインズ“は、アマチュア時代から期待を集める実力派。だが、今季の出場権がかかるQTに失敗し、苦しい戦いを強いられていた中で値千金の結果となった。
厳しい状況での好成績にうれし涙。暫定リランキングも25位に!
こみ上げる涙を、こらえきれなかった。
優勝した稲見萌寧と2打差2位タイから最終組でプレーした岩井千怜は、18番をパーで切り抜け、通算5アンダーで2位タイを確定させると、グリーン脇で思わず、顔を覆った。「QTを落としてしまって、すごく厳しい状況でやっていた中で、今日2位で上がれたのでうれしい涙でした」。ホールアウト後のインタビューで、照れくさそうにそう説明した。
それほど、苦しかった。
アマチュア時代から、双子の姉、明愛とともに実力を発揮し、注目を集めていた。だが、受験するはずだった一昨年のプロテストは、コロナ禍で延期。昨年6月にやっと受けたプロテストに9位タイで合格後、1か月もしないうち下部ツアーのカストロールレディスで優勝。さらに期待を集めた。
ところが、今季の出場権を争う年末のQTの結果は90位。ツアー前半の出場は限られることになった。7月のニッポンハムレディス終了後のリランキングまでに、出場できる試合で結果を出してポイントを稼がなければ、その先の試合に出られる可能性が減ってしまう。
そういう状況の中、ジュニア時代からクラブを使用していた縁で契約しているヨネックス主催の今大会に、主催者推薦で出場し2位タイに入ったことで、暫定リランキングも25位に浮上。後半戦への出場に望みがつながった。
後半怒涛の5連続バーディー!「ベストスコア賞」500万円のボーナスもゲット
フロントナインは、3番ボギー、6番ダブルボギー。ずるずると優勝争いから脱落してもおかしくない展開だった。10番もボギーと嫌なムードが漂う。だが、本人は落ち着いていた。「攻めた結果だったので、そんなに自分の中では失敗だとは思ってませんでした」と、自分のゲームに集中していた。
すると、11番のバーディーで流れが変わった。ここから怒涛の5連続バーディーで再び優勝戦線に浮上する。「ただただうれしいのと、次も入ったらいいな、くらいで回っていました。楽しかったです」という快進撃だった。
特に難易度の高い15番には、賞金500万円の『ベストスコア賞』がかけられていた。初日をパー、2日目にバーディーを奪っていた千怜は、最終日も4ヤード(約3.6メートル)の下りフックラインを沈めてバーディーをゲット。「知らなかったです。打ったら入ったので、ラッキーな部分が大きいのかなと思います」と、思わぬ”ボーナス“に笑顔を見せた。
出場資格のなかった次週の出場権も獲得
3位以内に入れば、翌週の試合に出場できるという規定により、次の宮里藍サントリーレディス(9日~12日、兵庫・六甲国際GC)にも出場できることが決まった。リランキングの基準となるポイント配分が高い4日間大会だけに、大きな意味を持っている。
昨年の賞金女王である稲見、今大会のディフェンディング・チャンピオン勝みなみという実力者との最終組も、「今日は(緊張感が)全然なくて、いつもと全然変わらなくて、思った以上に緊張していないのがビックリでしたね」と、堂々としたプレーぶりに、ギャラリーからの応援もどんどん増えていった。
優勝した稲見を見て、戦略を学ぶなど、前向きな千怜。この日、10位タイに入って、暫定リランキングを18位とした姉、明愛とともに、今後の活躍が楽しみになってきた。