◆国内男子プロツアー<ASO飯塚チャレンジドゴルフトーナメント 6月9日~6月12日 麻生飯塚ゴルフ倶楽部(福岡県)6809ヤード・パー72>
今季新設されたASO飯塚チャレンジドゴルフトーナメントは、初日から首位を走り続けた池村寛世が、最終日も68で回り、通算23アンダーで完全優勝。ツアー通算2勝目を飾った。1打差の2位には、この日61の大まくりを演じた19歳の久常涼が食い込んだ。
初物に強い!?ツアー2勝目も新規大会でゲット
2勝目は簡単ではなかった。
最終日は前半のハーフで5つスコアを伸ばし、独走態勢に入ったかに見えたが、サンデーバックナインに入ってからバタついた。10、13、16番でボギーを叩き、自らが大混戦の原因を作ってしまった。
16番では、この日61の猛チャージを見せた久常に並ばれた。だがフェアウエーを歩く池村に悲壮感はかけらもない。キャディーでパートナーでもある坂口琴音さんと言葉を交わし、笑みを浮かべながらのプレーが続いた。大詰めの17番では、値千金のバーディーで勝利をグイっと手繰り寄せた。
最終18番、外れればプレーオフとなる1.5メートルのウィニングパットも思い切りよく打ち、ど真ん中から決めた。顔を上げると、両手を広げた坂口さんが待っていた。足早に歩み寄り、歓喜の抱擁で喜びを分かち合った。
初物に強い。自身の初勝利も、昨年10月の新規大会「ISPS HANDA ガツーンと飛ばせ ツアートーナメント」。この時も5打差を逆転し勝利が決まると、坂口と抱き合って大泣きした。今回も新規大会の初代王者として、大会の歴史にその名を刻んだ。池村は、「初めて開催された試合で優勝できてうれしく思います」と喜びをかみしめた。
ツキも味方した。最終日は時松隆光、大西魁斗とのラウンド。池村は、「去年の初優勝した時も同じペアリング。その時も時松さんが声をかけてくれて、力になったというのもあったんで、同じペアリングだって聞いた時に、勝てるかもなって予感がしたんです」とスタート前の心境を振り返った。
坂口さんも「途中から緊張していましたが、一緒に回っている源蔵さん(時松の本名)と魁斗が、結構和ましてくれたので」とペアリングの幸運を認めていた。
ついに年貢の納め時!? 美人のパートナーからは「まだ婚約してません!」の仰天事実が
その一方で、ゴルフ担当記者たちが思わず2度聞きするような場面が、18番グリーンでの優勝インタビューで起きていた。坂口さんが、「まだ婚約もしていないんですよ」という仰天事実を暴露したからだ。
池村は今季、一度もホテルに宿泊していない。コロナ禍で外食が難しい状況もあり、坂口さんと2人で毎週ウィークリーマンションで自炊生活を送ってきたからだ。遠征の荷物には炊飯器も入っているほどで、毎週“愛の巣”から通勤しているようなものだった。
そんな状況もあり、各マスコミは坂口さんの立場を、疑いもなく「婚約者」と書いてきた。そのため優勝インタビューでも、「まだ籍を入れてないんですよね?」と質問が飛んだ。そこで坂口さんの、「まだ婚約もしてないんですよ」という“暴露発言”につながったというわけだ。
これにはインタビュアーも、「え?そうなんですか?もうみんな、婚約者だっていう話になってますけど」と驚きの声をあげたが、池村も、「結婚を前提としてお付き合いをしてるっていうことで、あの…」と苦笑。「でもきっと近いうちに夫婦ゴルフを見せてくれますよね」という質問には、「頑張りたいと思います」と真顔ではっきり答えた。
2位の久常涼が21世紀生まれのチャンピオン第1号の座に迫る
池村に続く2位に食い込んだのが、今季初シードの久常涼だった。この日2イーグル、7バーディ、ノーボギーの「61」をマークし、前日の10位タイから一気にリーダーボードをジャンプアップ。通算22アンダーでクラブハウスリーダーとなり、後続のプレーを待ったが1打及ばなかった。
「あと1打。なんとでもなった1打と思いますので悔しいです」と語る昨季のABEMAツアー賞金王は、2002年の9月9日生まれのまだ19歳。10代である9月の誕生日までに優勝することを目標に掲げているという。
これまでABEMAツアーでは2度61を叩き出し、昨年5月のゴルフパートナーPRO-AMAトーナメントの最終ラウンドも62で回るなど、爆発力は折り紙付き。女子ツアーでは笹生優花、西郷真央、山下美夢有ら、21世紀になってから生まれたチャンピオンが多いが、JGTOの公式HPによると、男子ツアーではまだ1人もいないとのこと。その第1号に一番近いところにいるのが久常であることは確かだと言えそうだ。