◆国内男子プロツアー<HEIWA・PGM CHAMPIONSHIP 10月27日~30日 PGM石岡ゴルフクラブ(茨城) 7039ヤード・パー70>
2位に1打差をつけて単独首位でスタートした星野陸也が1イーグル、5バーディーの63をマーク。通算22アンダーまでスコアを伸ばし、地元・茨城で今季初優勝を飾った。ツアー6勝目は2位のチャン・キムと岩﨑亜久竜に5打差をつける圧勝だった。
涙、涙の優勝の裏にあった地元で勝つことへの思い
期待を裏切り続けたことへの申し訳ない思いと、それでも温かい声援を送り続けてくれる「地元応援団」への感謝の気持ち。コースから車で30分の笠間市出身の星野は、サンデーバックナインで後続を突き放すと、ギャラリーの人ごみに多くの知人を見つけてしまう。
こうなると、なかなか平常心では、いられない。こみ上げてくる思いから、すでにウルウルしかかっていたという。
昨年の東京オリンピックには、同じ笠間市出身の畑岡奈紗とともに出場権をゲット。わずか4人の代表のうち、2人が笠間市出身とあって地元は大いに盛り上がり、メダルへの期待も膨らんだ。
だが、結果は稲見萌寧が銀メダル、松山英樹が銅メダルのプレーオフの末4位だったのはご存じの通り。38位という結果に、星野は「正直、悔しい気持ちでいっぱい」と肩を落とした。
今年も3度、地元Vに失敗
今年もその流れが断ち切れなかった。
4月に同じPGM石岡GCで行われた「ISPS HANDA 欧州、日本、とりあえず今年は日本トーナメント」では、優勝した桂川有人に1打差の2位に終わった。
5月に大洗GCで行われたダイヤモンドカップも6位。さらに6月、実家から車で10分という宍戸ヒルズ西Cで行われた日本ゴルフツアー選手権も5位。茨城での地元Vへの期待は、毎月のように高まってはしぼんだ。
それだけに「勝ちたい」という思いは強かった。
終盤でとどめとなる圧巻のカップインイーグル
2位に4打差をつけて迎えた16番のパー5。グリーン右手前のバンカーから30ヤードのショットを直接叩き込むイーグル。残り2ホールで後続に6打差をつけるとどめの1発でついに悲願の地元初Vをたぐり寄せた。
「4回目だったので、今度こそはという思い」がかなったことで、星野の目からはとめどなく涙があふれ出た。
その目が狙うのは、逆転賞金王。
賞金ランキングは7,923万457円で2位の桂川とは僅差の3位。残りは5試合だがビッグトーナメントが続くだけに、比嘉一貴につけられている約5,600万円の差は、決して逆転不可能な数字ではない。