第150回全英オープンが、ゴルフの聖地・セントアンドリュース・オールドコース(スコットランド)で、現地時間の14日に開幕する。日本勢は、2021年マスターズ王者の松山英樹をはじめ、6人が参戦。連覇を狙うコリン・モリカワ(米)らの強豪たちと、スコットランドの自然相手の戦いに挑む。
松山英樹は聖地で昨年欠場の悔しさを晴らす
メジャー2勝目をかけて聖地に挑むのは松山だ。全英オープン出場は今回が8回目。ベストフィニッシュは初出場だった2013年の6位タイ。舞台はミュアフィールドだった。
セントアンドリュースでは、前回の2015年大会18位タイと相性も悪くない。
実は、松山が全英オープンに出場するのは3年ぶりとなる。2年前の2020年は、新型コロナウイルス感染拡大の影響で大会自体が中止となった。
そして悔しい思いをしたのは翌2021年だ。マスターズで日本人男子初のメジャー優勝を飾った3か月後、優勝候補の1人として全英オープンに出場するはずだったが、欠場を余儀なくされた。理由は新型コロナウイルス感染だった。大会2週間前に自ら感染してしまい、涙を呑んで欠場を決めている。
そんな経緯もあるため、大会への思いは強い。今季は2021年に行われたZOZO Championship、年明け早々のソニー・オープン・イン・ハワイと2勝しており、全米オープンでも4位タイという成績を残している。
練習ラウンドではコースの隅々までチェックを繰り返し、準備は万端だ。優勝者に贈られるクラレットジャグに最も近い日本人として、期待を背負って世界最古のトーナメントに立ち向かう。
勢いのある比嘉一貴、桂川有人に期待!今平周吾は3度目の挑戦
全英オープン前に2週続けて欧州でプレーして臨むのが比嘉一貴だ。
今季は日本ツアーのフラッグシップ大会、日本ゴルフツアー選手権で優勝するなど勢いに乗っている。この時の優勝で全英オープン初出場を決定。早めに欧州に入り、BMWインターナショナルオープンに出場。10位タイに入ったことで、ホライゾン・アイルランドオープンにも出場できることとなった。
残念ながら、結果は最下位だったが、それでも予選を通過して4日間プレーした経験は大きい。毎週、国が変わりコースが激変する欧州の空気に慣れて、大舞台で暴れる心づもりでいる。
また、日本とアジア両ツアー共催のSMBCシンガポールオープンで2位となり、早々に全英への出場を決めていたのが桂川有人だ。日本ツアーでは優勝争いを繰り広げているものの未勝利。日本より先に、ビッグタイトルを手にすることになれば面白い。
そして2018、2019年日本ツアー賞金王の今平周吾は、これが3回目の全英オープンとなる。2016年、2019年の過去2回はいずれも予選落ちしており、今回は改めて作戦を練っての挑戦となる。日本ツアーを代表する“顔”の1人だけに、猫の目のように変わるコンディションに対応できる柔軟さが問われる大会に、満を持して乗り込む。
世界に挑み続ける金谷拓実と最強のアマチュア中島啓太の活躍にも注目
昨年の日本ツアー賞金ランキング2位の金谷拓実は3度目の挑戦となる。
全英オープンでは2019年、2021年大会でいずれも予選落ち。アマチュア時代から世界を視野に入れている男だけに、日本の枠にとどまらず、今季は海外に主眼を置いて戦ってきた。
すでに、欧米あわせて出場した試合は9試合。その中で、長い目で将来を見据えながらも結果を求めている。
だが、結果がなかなか伴わないのも悩みの種。実力者の試行錯誤の期間ではあるが、メジャーでの必死の戦いが、光明をもたらしてくれるといいのだが。
第150回の記念大会にアマチュアとして参戦するのが中島啓太だ。
昨年の世界アマチュアランキングNo.1で、マーク・マコーマックメダルを獲得したことで出場権を獲得した。マスターズ、全米オープンに続く3回目のメジャー挑戦となる。
マスターズ、全米オープンはいずれも予選落ち。それが自分で許せなかった。悔しさを胸に抱えつつ、それでも、自分のやるべき準備を整えるというルーティンは変わらない。
22歳になり、プロ転向のタイミングが近づいてきているのはわかっている。これがアマチュアで挑む最後のメジャーとなる。
日本のナショナルチームのガレス・ジョーンズコーチが今回も帯同し、一緒に戦ってくれるのも心強い。金谷同様、目指しているのは世界の舞台だ。
アマチュアでも目指すところはプロと変わらない。群雄割拠の戦国時代に突入している世界のゴルフ界。その中で、日本勢がどれだけ存在感を示すことができるのか。150回の記念すべきビッグトーナメントで、その力が試される。