◆国内女子プロツアー<住友生命Vitalityレディス東海クラシック 9月16日~9月18日 新南愛知カントリークラブ美浜コース(愛知県) 6502ヤード・パー72>
敗者たちは、次の戦いに向けて気持ちを切り替えた。
尾関彩美悠の優勝で幕を下ろした住友生命Vitalityレディス東海クラシックの最終日(18日)は、大激戦が繰り広げられた。
最後の最後で自滅した後藤美有、パットが入らず優勝争いから脱落した山下美夢有、4位タイに入りベテラン対象の賞を手にした有村智恵、三者三様のトーナメントを振り返る。
後藤美有は最終ホールで痛恨の池ポチャ
初優勝への夢は、18番のティーショット1発ではかなく消えた。
最終組の1つ前でプレーして通算11アンダーまでスコアを伸ばし、尾関彩美悠、吉田優利と優勝争いを繰り広げていた後藤だったが、最終ホールで3Wで打ったティーショットが左の池に捕まってボギーフィニッシュ。通算10アンダーの3位に終わった。
最終組の2人に1打ビハインドで迎えた最終ホール。「風が右から来ているのがわかっている中で、私がフェーダーというのもあり、あまり右に打ち出しても右ラフからのショットはイヤでしたし…。そうしたら、しっかりと捕まり過ぎて池に入ってしまって…。攻めた結果でもないただの凡ミスに終わってしまったので、自分自身でもガッカリしています」と振り返る痛恨の1打となってしまった。
それでも、初めての優勝争いに、「自分の中でもいい経験になったので、これを生かして次に優勝争いをするときには、凡ミスだったり、取りこぼしがないように今日のミスを反省して次につなげていきたいと思います」と、前を向いた。
11試合連続でトップ10入りの山下美夢有
「まぁ、終わったのでまた来週に向けて頑張ります」。山下美夢有は、いつものように淡々と試合を締めくくった。
首位に2打差の3位で迎えた最終日、最終組での戦いは、2番でダブルボギーからの苦しいスタート。この後、台風14号の影響による大雨で1時間5分中断。再開後、3番、8番をバーディーとして、振り出しの9アンダーにスコアを戻した。
だが、いい流れは続かない。10番ボギーの後、14番でもボギー。同じ組の尾関、吉田の優勝争いに置いて行かれてしまった。
パットが入らないのは先週からの流れ。「私も頑張ってついて行こうとは思ったんですけれど、なかなかうまくいかなかった。まぁ、でも楽しかったので、来週頑張ります」と、口にした。
優勝は逃したが6位タイ。シーズン15回目のトップ10入りだ。特に、優勝した6月のサントリーレディス以来、11試合連続でのトップ10と抜群の安定度を誇っている。
パットの調子さえ戻れば、いつでも優勝できる。そんな気配を漂わせたまま、次の戦いに向けて気持ちを切り替えた。
4位タイの有村智恵は悔しさ見せるも“ご褒美”には笑顔
今季のベストフィニッシュである4位タイにも、有村智恵は悔しさをにじませた。
11番までに4つのバーディーを奪って、9アンダーまでスコアを伸ばす。ショットはキレキレ。最終組の4組前で、さらに追い上げようと終盤のプレーに臨んだ。
だが、11番パー3のバーディーの後、勢いがピタリと止まってしまった。12番、15番のパー5も含めた残り7ホールすべてがスコアカード通り。通算9アンダーで4位タイに終わった。
「ショットが良かったので、パッティングを決めきれなかったなと思う部分があるんです。ロングを取れなかったのが、上に追いつくにはちょっと足踏みしてしまったなあというのがある。もう1個(バーディーを)取れるようになれたらいいなとも思います」と振り返る18ホール。2018年サマンサタバサガールズコレクションレディス以来となる通算15勝目は、もちろん意識していた。
「ずっと(上を)見ながらやっていたので、追いつく気持ちでやっていて、12番でショットが(ピンそばに)つかなくなってきた。上がり6ホールが大事なので、そこ(で取れなかったこと)が反省点かなと思います」と唇をかんだ。
ようやく笑顔を見せたのは、今年、新設された大会独自の『Vitality スイート10賞』に話が及んだ時だ。
JLPGA入会10年以上の選手で最上位に入った者に与えられるもので、賞金は50万円。ルーキー対象の賞が多い中、ベテランにスポットを当てた珍しいものだ。
毎年、選手の入れ替わりが激しいツアーで、長い間踏ん張るベテランにとってはうれしい“ご褒美”に、「メチャクチャうれしいです。ホント狙っていたので」と笑った。
次週は東北高校時代を過ごした第二の故郷、宮城県で行われるミヤギテレビ杯ダンロップ女子オープン。
「来週こそ優勝できるように頑張りたいです」と、気合を入れなおした。