ゴルフを始めた初心者が、ゴルフ場のレストランでメニューを見てビックリするのが料理の値段です。近ごろは、1500円以下のメニューを見かける機会がほとんどなくなりました。昼食つきプランを設定しているゴルフ場もありますが、そもそも、なぜあんなに高いのでしょうか。
1日200人のためだけに料理を作っているから高い
ゴルフ場のレストランの料理が高いのは、今に始まったことではありません。昔から高かったです。
18ホールと36ホールは分かるけど、なぜ27ホールのゴルフ場があるの?
それでも以前はカレーライスとラーメンを1200~1300円で出していました。それが最近は1500~1600円ですから、異常に高いと言わざるを得ません。その理由をゴルフ場関係者に聞くと、次のような答えが返ってきます。
「ゴルフ場はたくさんの人が訪れているように見えるかもしれませんが、18ホールのゴルフ場だとスタート枠は1日50組前後ですから、来場者は最大200人です。つまり、ゴルフ場のレストランは200人に料理を提供するために厨房があり、スタッフが働いています」
「街中のレストランですと、最初に入店されたお客様が料理を食べ終わった後、テーブルを片づけて次のお客様をお迎えします。回転率を上げて売り上げを増やすことができます」
「ところがゴルフ場のレストランは200人のお客様が料理を食べ終わったら営業終了です。かつてはコンペの表彰式でパーティー料理の注文がたくさん入った時代もありましたが、コロナ禍でコンペが激減し、コンペを開催しても表彰式を簡素化するのが主流になりました。食材費や光熱費も高騰していますから、昼食でご負担いただく金額が上がっています」
昼食つきプランが人気だったが最近は昼食別プランが急増
ゴルフ場のレストランが高いという不満は、以前からゴルファーの間でささやかれてきましたから、ゴルフ場運営会社も解決策を模索してきました。
1つ目の解決策は昼食つきプランの設定です。1990年代までゴルフ場の料金表示は昼食別でした。そこに昼食代が加算されるので昼食の高さが際立っていました。
2000年代に入ってゴルフ場の経営交代ラッシュが起こり、大手ゴルフ場運営会社がコストを全面的に見直して低料金化を実現すると、4000~5000円のプレー料金に対して、昼食代が1200~1300円というアンバランスさが生じました。
そこでゴルフ場は昼食つきプランを設定し、昼食つきで5000~6000円という表記にすることで昼食代の高さが目立たないように工夫を凝らしました。
2つ目の解決策はランチバイキングの導入です。ランチバイキングにすると食材を計画的に一括購入できるのでフードロスがなくなり、お客さんが料理を取りに来てくれるので人件費の削減にもなります。
しかしながら、ランチバイキングはコロナ禍で衛生上の配慮が必要になったため、実施コースが急激に減りました。昼食つきプランは今でも実施しているコースがありますが、昼食つきプランの範囲内で注文できるメニューがほとんどなくなり、プラス200~300円出さないと食べられないメニューばかりになっているという不満がくすぶっています。
また、近年はゴルフブームが起こり、ゴルフ場の需要が急増しています。このタイミングで大幅な値上げに踏み切るゴルフ場が目立つようになりました。
そうすると以前からゴルフをしていたゴルファーからは、「サービス水準は変わらないのにそんなに値上げをするなんておかしいだろう。プレー代が高すぎるよ」という不満が聞こえてくるようになりました。
ゴルフ場もそういった声が上がっているのを承知しているので、プレー料金を少しでも安く見せるために昼食別プランが急増しています。でも、昼食別プランだと前述のとおり昼食の高さが際立ちますから、「ゴルフ場のレストランは高すぎるよ」という大合唱が再び巻き起こっているのが現状なのです。
文/保井友秀