ゴルフ場には各ホールの両サイドにグリーンまでの残り距離を示す距離表示杭があります。100ヤードが赤色、150ヤードが白色、200ヤードが青色というのが一般的です。ボールがフェアウェイにあれば便利な表示杭ですが、ボールが表示杭の近くに飛んだときはプレーの邪魔になることがあります。そんな時、皆さんはどうしていますか!?
距離表示杭は引き抜けるように設置されている
先日のラウンド中に距離表示杭が邪魔だったので、引き抜いて横倒しにしたら、「それって引き抜けるんですか!?」と同伴者に驚かれました。
その同伴者は、距離表示杭が引き抜けることを今まで教わったことがなく、距離表示杭が邪魔なときはボールを横に動かしてプレーしていたそうです。
距離表示杭は動かせる障害物ですから、無罰で動かすことができます。ゴルフ場もそのことを承知していますから、地中に筒などを埋め込み、引き抜きやすいように設置されています。
まだ一度も引き抜いたことがない人は、次回のラウンドで引き抜いてみることをオススメします。このところゴルフ場が混雑しており、前の組のグリーン上のプレーが終わるのを待つ時間がけっこうあります。そのようなタイミングで引き抜いてみると、「こういう仕組みになっているんだ!」と新たな発見になります。
ただし、女性は重たくて引き抜けない人もいると思いますので、その場合は男性が引き抜くのを手伝ってあげてください。
そしてショットを打ち終えた後は必ず元に戻してください。そうしないと後続組が距離表示杭を見つけることができずに戸惑ってしまいます。
赤杭、黄杭、青杭、IPもOK!でも白杭はノー!
距離表示杭のほかにも邪魔なときは動かしてもいい障害物があります。池などの境界線に設置されたレッドペナルティーエリアを示す赤杭、イエローペナルティーエリアを示す黄杭、修理地を示す青杭も引き抜いてOKです。
ただ、青杭に関しては、青杭に囲まれたエリアはすべて修理地ですから、無罰でボールを動かすことができます。実際には青杭を引き抜いてショットすることはほとんどありません。
注意しなければならないのはOBラインを示す白杭です。これは引き抜いてはいけません。正確に言うと、2019年のルール改正以前は白杭を引き抜いた時点でただちに2罰打が科せられていましたが、2019年のルール改正で「ストロークを行う前に元の状態に復元することにより改善をなくした場合、罰はない」という規則になりました。
つまり、うっかり引き抜いてしまっても、同伴者などからの指摘で間違いに気づき、元に戻してから打てばペナルティーにならないということです。
パー4やパー5のホールで、ティーショットの狙いどころを示すIP(黄色の旗だったり白黒の棒だったりする)も引き抜いて構いません。
IPとはインタークロス・セクション・ポイントの略です。インタークロス・セクション・ポイントとはゴルフとは関係ない測量用語で、横断面がお互いに交わるところという意味です。日本のゴルフ場造成は土木工事としてスタートしていますから、土木工事の用語がそのままゴルフにも使われています。
ゴルフはボールをあるがままの状態で打つのが原則なので、動かせる障害物が邪魔なときはボールを動かすのではなく障害物を動かしてプレーするのが基本的なルールになります。
文/保井友秀