◆海外男子プロツアー<マスターズ 4月6日~9日 オーガスタナショナルゴルフクラブ(米・ジョージア州) / 7545ヤード・パー72>
スペインのジョン・ラームが、逆転で2021年の全米オープンに続くメジャー2勝目を飾った今年のマスターズ。苦しみながらも、首位のブルックス・ケプカから6打差の5位タイで最終日を迎えた松山英樹だったが、2バーディー、5ボギーと3つスコアを落とし、通算2アンダーの16位タイに終わった。
最終日スコアを伸ばせなかった松山英樹
一昨年に続く2着目のグリーンジャケットを目指し、6打差の5位タイからスタートした松山だったが、最終日はショットとパットがかみ合わず、トップグループからじわじわと後退。
サンデーバックナインに入ると、勝負のパットがことごとく外れ追撃がままならない。逆に14番で残り150ヤードからグリーンをショートし、1.5メートルのパーパットを決められずボギーを叩くと、チャンスの15番でも2オンできず、1.5メートルに寄せながら2パットのパー。
通算4アンダーのまま上り3ホールを迎えることとなり、逆転は絶望的に。上り2ホールも連続ボギーと、後半はバーディーなしの39という厳しい内容となった。
ホールアウトした松山は、「体が4日間、いい状態でプレーできていない。早くいい状態で、練習も制限なくできるようになりたい」と、大会前に懸念されていた首痛が、まだ万全ではなかったことを明かしている。
とはいえ、昨年のように激痛に顔をゆがめるようなことはなく、終始穏やかな表情でプレーしていた松山。「体のメンテナンスをいい感じでしたい。次のメジャーまでにしっかり準備して、勝てるように頑張りたいと思います」と、5月18日開幕の全米プロゴルフ選手権(オークヒルCC、米・ニューヨーク州)でのメジャー2勝目に向けて、前向きな言葉で締めくくった。
オラサバルも祝福!スペインから4人目のマスターズ王者
これがマスターズの重圧というものか。首位のケプカは、4番でバンカーにつかまりボギーが先行。早くもラームに並ばれると、6番のパー3でグリーンをオーバーし2つ目のボギー。あっさり首位を明け渡すと、そのままズルズルと後退していった。
一方のラームはアーメンコーナーも無難に乗り切り、ケプカにつけた3打差をキープ。14番で13番に続くバーディーを奪い、このホールをボギーとしたケプカとの差を「5」に広げ、逃げ切り態勢に入った。
最終ホールでティーショットを左に曲げるピンチはあったものの、このホールもパーで切り抜け通算12アンダー。2位に4打差の圧勝劇を締めくくった。
この日はスペイン勢にとっても、特別な日となった。
4月9日は、スペイン人として1980年大会で初めてグリーンジャケットに袖を通したセベ・バレステロス(故人)の誕生日。セベは83年にも2度目のマスターズ制覇を成し遂げているスペインの第一人者だが、それに続いたのがホセ・マリア・オラサバル。94、99年にマスターズを制しているとあって、この日もラームの優勝を祝福するために18番のグリーンサイドへと駆けつけていた。
この2人に続いて、2017年にマスターズを制したのがセルヒオ・ガルシア。ラームの優勝はスペイン勢としては4人目の快挙となった。
いくつもの意味を持つ優勝だけに、ラームはウイニングパットを沈めた瞬間、両手で握りしめた拳を何度も天に向かって突き上げた。さらに前年優勝のスコッティ・シェフラーから、夢見てきたグリーンジャケットを贈られると、満面に笑みを浮かべながら袖を通した。
タイガー・ウッズは足底筋膜炎を悪化させ無念の棄権
大会5勝のタイガー・ウッズが、最終日のスタート前に棄権した。ウッズは前日3日目の午前中、未消化だった第2ラウンドの7ホールを回り、通算3オーバーの49位でフィニッシュ。大会記録タイとなる出場試合での23試合連続予選通過を果たしていた。
だが、直後に行われた第3ラウンド。大雨の中、10番からスタートした7ホールでは痛みに顔をゆがめ、足を引きずりながらプレー。15、16番と連続ダブルボギーを叩くなどスコアも6つ落として、通算9オーバーまで後退していた。悪天候による中断でラウンドが再び順延され、この日は最下位の暫定54位から再開する予定だった。
最終ラウンドと合わせ、29ホールのプレーを前に無念の棄権となったウッズは自身のツイッターで、「今朝の棄権は本当に残念。足底筋膜炎が再び、ひどくなった」と説明している。