今季、JLPGAのレギュラーツアーでの活躍が最も期待される若手選手の1人が櫻井心那です。2021年のプロテストに一発合格し、2022年は下部ツアーのステップ・アップ・ツアーで史上初の年間5勝を挙げたステップ女王が、2023年は満を持してレギュラーツアーに挑みます。
台湾ツアー開幕戦の優勝で2023年シーズンをスタート
今季の国内女子ゴルフツアーは3月の開幕だが、櫻井心那は海外でシーズンをスタートさせていた。
台湾女子ツアーの2023年シーズン開幕戦「日立レディースクラシック」で、通算8アンダーを叩きだし、ツアー初優勝を手にした。まさに昨年の勢いと強さをそのまま試合にぶつけた形だ。
2004年生まれで、昨シーズンはJLPGA正会員で最年少の18歳。2022年はプロ1年目のルーキーとして、下部のステップ・アップ・ツアーを主戦場とした。「1勝が目標」だったが、終わってみれば破竹の勢いで5勝して、賞金ランキング1位に輝き、今季レギュラーツアーの前半戦出場権を獲得した。
それだけではない。昨季はレギュラーツアーの「北海道meijiカップ」でも2位タイに入るなど、ポテンシャルの高さを発揮。
ただ躍進の陰で、櫻井はレギュラーツアーとステップ・アップ・ツアーの“違い”を痛感していた。昨年の「NOBUTA GROUP マスターズGCレディース」に出場した時、こんなことを語っていた。
「初めてレギュラーツアーに出たのが、『ほけんの窓口レディス』で、そこで上の選手との練習量の差をすごく感じて…。正直言うとステップの会場では16時半過ぎたらパッティンググリーンに3人くらいしか残ってない状況で、それに慣れてしまっていました。レギュラーツアーの会場に行くとみんな17時半とか暗くなるまでたくさん人が残っていて、黙々と練習しているのを見て、『自分は何やってるんだろう』って練習量の差を感じました。そこからすごく練習し始めました。」
だからこそ、優勝を重ねても天狗になったり、慢心することはなかったのだろう。自分の立ち位置を見つめ直すには、レギュラーツアーの参戦が大いに役立ったと言える。
武器のドライバーの精度も向上「地元長崎で優勝できれば最高」
今季はレギュラーツアーの前半戦に出場できるとあり、櫻井にとってはようやくスタートラインに立ったと言える。すでに1月に台湾ツアーで実戦を積んで、優勝を手にしたことは大きな自信になっていることだろう。
それに、かねてから「一番の武器」と語っているドライバーの平均飛距離は240ヤードで、ショットの精度や方向性も向上していると自信を見せる。ちなみに出身は長崎県。同県出身の女子プロゴルファーが誕生したのは23年ぶりということもあり、先月は地元紙の長崎新聞の取材に応じ、今季の目標について語っていた。
「シードは取りたい。でもそれでは目標が低すぎるので、レギュラーツアー初優勝は必ずしたい」
さらに、今季のメジャー「日本女子プロゴルフ選手権コニカミノルタ杯」が、長崎のパサージュ琴海アイランドゴルフクラブでの開催とあり、「ここで勝てたら最高」と地元優勝も意識している。
将来的には賞金女王や年間女王になることを目標に据えているが、昨季のように2023年シーズンを新たな転機にできるか注目したい。