◆国内女子プロツアー<富士通レディース2022 10月14日~10月16日 東急セブンハンドレッドクラブ(千葉県)6689ヤード・パー72>
古江彩佳が、岩井明愛の猛追を振り切って劇的な連覇を飾った。
富士通レディース(千葉・東急セブンハンドレッドC)にディフェンディング・チャンピオンとして出場。最終日に3打差単独首位で臨んだ古江だったが、今一つスコアが伸ばせず、優勝争いは最終ホールまで持ち越された。ここで、劇的なバーディーを奪い、初優勝を狙う岩井を突き放した。米ツアーで身につけた技に支えられた優勝だった。
米ツアー優勝経験者の自信と貫禄を見せた古江彩佳
3.5メートルの軽いフックラインをしっかりと沈めた、大ギャラリーが、そしてクラブハウスリーダーの岩井明愛が見守る前で見せた鮮やかなバーディーフィニッシュ。連覇達成の瞬間だ。
2019年にアマチュアとして優勝した今大会で、古江は圧倒的な強さを誇る。翌2020年は申ジエに敗れたものの2位タイ。2021年は、勝みなみとのプレーオフを制して優勝している。そこに新たな勝利が加わった。
今年は、ルーキーとして出場している米ツアーから、トーナメントウィークになって帰国して乗り込んできた。7月のトラストゴルフ女子スコティッシュオープンで優勝し、自信をつけての出場だった。
通算13アンダーとした2日目に単独首位に立ち、アドバンテージは3打。だが、後続がぐんぐんとスコアを伸ばす中、前半のバーディーは1つだけ。
一時は岩井に首位の座をわたす苦しい展開だった。それでも、「しっかりとバーディーを取っていきたい気持ちはあったけど、落ち着いてバーディーが取れる時を待とうとキャディーさんと話しながら、自分のプレーに集中していました」と、焦ることはなかった。
16番グリーンでリーダーボードを見て、1打ビハインドを確認。「自分が取らないといけないというのを把握して」と、カラーからパターでイーグルを狙った。入らなかったが、1メートルを沈めてバーディー。再び首位に並んだ。
通算15アンダーの岩井が待つ18番のバーディーパットは、「しっかりと決めていかなければいけないという思いで少し浅めに読んだのが入ってくれました」と、勝負に出てのバーディー。優勝を決めた。
米ツアーで増えたアプローチの引き出し
広い米本土だけでなく、欧州やアジアでもプレーする米ツアーで、技術的な引出しが増えた。
「今週はラフが長いところもあって、グリーンを外した時に難しいアプローチが残った場面でもパーセーブはできました。上げるアプローチショットについては、ちょっとは技術が上がったと思います。上げなきゃいけないところが増えたので、日本にいる時よりも50%くらい(その練習が)増えたかなと思います」と、1年間の蓄積を口にする。
それが生きたのが、6番で迎えたピンチだった。つま先下がり、左足下がりの左のラフから、52度のウェッジでふわっと上げる球で寄せてパーセーブ。
「6番がキーになったと思います」と自らも振り返る。ここでしっかりと首位をキープし、その後につなげた。
身長153㎝の小柄な体は変わらないのに、蛍光イエローの鮮やかなウェアをまとった姿は、優勝争いの中で以前より大きく見えた。それも自信の表れに違いない。
惜敗も、自信を深めた岩井明愛
「悔しいです」。岩井ツインズの姉、明愛は、優勝に1打及ばず、唇をかんだ。
だが、すぐに笑顔になり、最終ホールのバーディーで連覇を決めた古江を称賛した。「すごいなって気持ちでした。やっぱり最終ホールでこれ決めて優勝っていうパットを、しっかり決めてくるっていうのはさすがだなと思いました」。
最終組の1つ前の組で、5打差を追っての最終日だった。
1番をバーディーで波にのると、3番、5番、8番、9番とバーディーを重ねていく。14番のバーディーで、伸び悩む首位の古江に並んだ。15番でバーディーを奪った時には単独首位。だが、すぐに16番バーディーの古江に並び返された。
最後のパー5の16番も取れず、18番はバーディーを狙いに行ってグリーンを外してしまう。入れに行ったアプローチも入らなかったが、通算15アンダーのクラブハウスリーダーとして古江を待った。
プレーオフになることを願って見守るその前で、古江のバーディーフィニッシュを見せつけられた。双子の妹、千怜に続く初優勝はお預けとなった。
それでも、最終日に伸ばして最後まで優勝を争ったことで、「すごい自信にもなりますし、こういうところで自分もプレーできるんだな、って自信になったので、来週からまた頑張りたいなと思います」と、笑顔で今後への抱負を口にした。