◆国内女子プロツアー<宮里藍サントリーレディスオープン 6月9日~6月12日 六甲国際ゴルフ倶楽部(兵庫県) 6527ヤード・パー72>
藤田さいきが、11年ぶりのツアー6勝目を、あと一歩のところで逃した。宮里藍サントリーレディスの最終日を、4打差単独首位でスタートした藤田だったが、バックナインに入って後退。最終18番もボギーとして、山下美夢有に逆転負けし、2位に終わった。
後半失速で逆転負け 11年ぶりの優勝を逃す
プレーオフがかかった18番のパーパットを外した瞬間、大きく尻もちをついた。「リアクションだけ大きくてすみません。勝ちたかったですね」と苦笑しながら振り返ったが、それほど、勝ちたい試合だった。
20代前半が中心になって引っ張っている今のツアーでは、大ベテランと言っていい36歳。しかし今季は、先週に続きこれが3度目の2位と好調だ。
この日も、4番、10番と順調にバーディーを奪って通算14アンダーまでスコアを伸ばして優勝に手が届きかけたが、11番のボギーから失速。13番、14番の連続ボギーで11アンダーまでスコアを落とした。17番のバーディーで1つ取り戻し、前の組の山下と並ぶ通算12アンダーとしたが、最後のボギーで力尽きた。
それでも、「まだ6月ですし、後半もチャンスがあると思うので前向きに頑張りたいなと思います」と、勝利への意欲は増すばかりだ。
向上心と自然体が継続の秘訣
「(いつ以来か)全然覚えてない。そんな日あったかな、と言う感じで」というほど、最終日の最終組は実に4年ぶり。一緒にプレーした昨年の賞金女王、稲見萌寧には、「勉強させてもらえればと思っています」と謙虚な姿勢を見せたが、もう1人のルーキー、尾関彩美悠は18歳とあって、「もう娘ですねぇ。幼馴染の長女が17歳ですから、たぶんお母さまの方が年が近いと思います」と笑わせる。
ほとんどが年下の選手という環境には何の違和感もなく、「あまり意識しないです。みんなプロゴルファーなのでゴルフはうまい。年齢は関係ないと思っています」と、3日目に口にしていた。向上心と自然体こそが、36歳になっても第一線で戦い続けられる秘訣なのだろう。
一方で肉体的に疲労があるのは隠せない。3日目にはティーイングエリアで足が重たいことを感じた14番で、ティーショットをひっかけた。この日も、ホールアウトした瞬間にへたりこんだほどだ。そんな中、自分をコントロールしながら11年ぶりの優勝に向かってプレーしている。
初の海外メジャー出場権獲得も「優勝して全英に行きたかったです」
今大会の2位までに与えられる、全英女子オープン(8月4日~7日、スコットランド・ミュアフィールド)への出場権も獲得。意外にも、メジャー出場経験はないという。
「優勝して全英に行きたかったです」と悔しがるが、それでもメジャーへの期待は大きい。「この年になって全英に行けるとは正直思ってなかったですし、こんなにいい資格で、なかなかないチャンスなので、楽しみに行けたらいいなと思います。(これまで)海外っていうのはあんまり考えてなくて。そもそも資格がなかったので」と、新たな経験に胸躍らせている。
年を重ねるごとに、ゴルフを楽しむようにプレーし、今季は好調な藤田。若さに勝る経験値を見せることで、若手にも大きな刺激を与え続けている。