10日に終わったニッポンハムレディスクラシック終了後に第1回リランキングが行われ、中盤戦への出場優先順位が確定した。少ないチャンスを生かした金田久美子や辻梨恵らが中盤戦ほぼ全試合の出場確実にしたのに対し、QTランキング1位だった下川めぐみは60位と、明暗が大きく分かれた。
金田、辻らが中盤戦出場を確実に。木戸は最後のチャンスで浮上
シーズン中に2度、行われるシビアなサバイバルレース。それがリランキングだ。
リランキングの仕組みは、シード選手とそのシーズンの優勝者以外のTP(トーナメントプレーヤーズ)登録者をポイント制のメルセデスランキング順に並べ、その順位によって出場優先順位が決定するというもの。
毎週、試合後に暫定リランキングが発表されるがあくまでも途中経過で、状況はわかるが出場順位に影響はない。
開幕戦から19試合目のニッポンハムレディスまでで算出される今回のリランキング結果は、次戦の大東建託いい部屋ネットレディス(7月21日~24日、北海道・滝のCC)から、9月のミヤギテレビ杯ダンロップ女子オープン(9月23日~25日)までの中盤戦の出場優先順位となる。シーズン2回目のリランキングは、ミヤギテレビ杯ダンロップ女子オープン終了時に行われ、終盤戦の出場優先順位が決まる。
大会ごとに出場できる選手の数や主催者推薦などで使われる出場枠、欠場者数などが異なるため、リランキングによって出場できる人数はまちまちだ。それでもおおよそ35位前後にいれば、ほとんどの試合に出場できることになる。
今回、少ないチャンスを生かして中盤戦への出場を勝ち取ったのは金田久美子と辻梨恵、そしてニッポンハムレディスで8位タイに入り滑り込んだ木戸愛だ。
2011年フジサンケイレディスでの優勝経験もある金田だが、QTランキングは87位。そのため前半戦の出場機会は限られていた。出場した8試合の中で、アースモンダミンカップの優勝争い(7位タイ)などを含めて216.68ポイントを稼いで、第1回リランキングで18位に浮上。中盤戦への切符をつかんだ。
ジュニア時代に天才少女と呼ばれた金田も、今や経験を重ねた32歳。「最近、ゴルフが初めて楽しくなってきた」と口にしているだけに、中盤戦での活躍が楽しみだ。
今年28歳になった辻も、リゾートトラストレディス5位タイなど、出場した8試合の中で180.30ポイントを獲得。QTランキング157位からリランキングで25位にジャンプアップして、中盤戦へのチャンスを得た。ここで2016年、2017年以来となるシード権獲得と、待望の初優勝に挑む。
QTランキングは50位で、ニッポンハムレディス開幕前の暫定リランキングでは37位と、微妙な位置にいた木戸は、週末の追い上げが効いて8位タイで試合を終えた。これで68.25ポイントを加えてリランキング29位に浮上し、中盤戦に望みをつないだ。
シード選手として8年間戦い、2012年サマンサタバサガールズコレクションレディスで優勝もしている実力者の今後の踏ん張りが見ものとなる。
ルーキーでは岩井姉妹、尾関彩美悠、上野菜々子らが中盤戦へ
ルーキーたちの必死の戦いも続いている。
QTランキング30位の上野菜々子は、堅実にポイントを稼いでリランキング27位。中盤戦でもプレーができる。
また、プロテストで1位通過ながらQTランキングが58位だったため、前半戦の出場が9試合だけだった尾関彩美悠は、2度のトップ10入りが効いてリランキング28位。
さらにアマチュア時代から実力の高さに注目が集まっていた岩井ツインズも、姉の明愛(QTランキング70位)が8試合の出場で30位、妹の千怜(QTランキング90位)は9試合の出場で33位。いずれも中盤戦に挑むチャンスを自力でつかんでいる。
QTランキング1位の下川は苦しい60位。イボミも55位とふるわず
一方、QTランキングによる序盤戦の出場順位がどんなに上でも、結果が出せなければ順位が下がり、リランキング以降の出場チャンスは激減する。その憂き目にあったのが39歳のベテラン、下川めぐみだ。
下川はQTランキング1位で18試合に出場したが、予選通過はわずかに4試合だけ。予選落ち13試合、棄権1試合で34.04ポイントしか稼げず、リランキングで60位に甘んじた。
今後は主催者推薦やマンデー予選、欠場者が出た時のウエイティングなどに賭けるしかない。
また、ツアー通算21勝。2015、2016年賞金女王のイ・ボミも、リランキング55位と低迷した。
イ・ボミは新型コロナウイルス感染拡大の影響もあってQTは受けなかったが、昨年の新型コロナウイルスの影響で入国できなかった間の特別措置で、今季5試合の出場権を持っていた。さらに主催者推薦と合わせて8試合に出場したが、ベストフィニッシュは20位タイ。予選落ちは5試合あり、44.25ポイントしか稼げなかった。スイング改造をするなど、試合に対する気持ちは衰えていないが、結果が伴わなかった。
第2回リランキングまでは、すべての試合に出場できても10試合。息つく暇もなく、次のサバイバルレースの幕が切って落とされる。