◆海外女子プロツアー<AIG全英女子オープン 8月4日~8月7日 ミュアフィールド(スコットランド) 6649ヤード・パー71>
日本勢12人が大挙して出場するシーズン最後のメジャー、AIG全英女子オープンが、現地時間4日、スコットランドのミュアフィールドで開幕する。一番の注目は前哨戦のトラストゴルフスコットランド女子オープンで米ツアー初優勝を飾り、強さを見せつけたばかりの古江彩佳。自信を深めて挑むメジャーでの戦いぶりが楽しみだ。
絶好調の古江彩佳はもはや優勝候補の1人!
米ツアーのルーキーの1人にすぎなかった古江が、一気に脚光を浴びてメジャーの舞台に挑むことになった。
今回の舞台となるミュアフィールドと同じリンクスコースで行われたトラストゴルフスコットランド女子オープンは、メジャーに向けて米ツアーの実力者たちが乗り込み、欧州勢とともに戦うタフなフィールドだった。
そこで古江は最終日に10アンダーの62を叩き出し、逆転劇を演じて周囲を驚かせた。
日本でも小柄な部類に入る身長153センチの体は、より大柄な選手が多い欧米勢の中に入るとさらに際立って小さい。飛距離も出る方ではないが、ショットの正確さとパッティングで鮮やかに勝利をさらった。
「まさかルーキーイヤーに優勝できると思わなかった」と喜びをあふれさせただけでなく、「この優勝が自信になりました。またしっかり次の試合も頑張りたい」と口にしたのは、メジャーをしっかりと意識してのこと。
どんな場面でも沈着冷静にプレーし、自分を貫く古江が、大一番にどんなプレーを見せてくれるのか。コースマネジメントも含めて期待が集まる。
歴史的に大きな意味を持つ今大会に意欲を燃やす畑岡奈紗
1744年創設のゴルフクラブであるザ・オナラブル・カンパニー・オブ・エジンバラ・ゴルファーズのミュアフィールドは、長い間女性会員を受け入れてこなかった。
これまで全英オープンを16回開催した歴史を持っているが、女性会員を拒否し続けていたため、一時は全英オープンの開催ローテーションから外れたこともある。
2017年にようやく、女性会員の受け入れを決議したことで、再び全英オープンのローテーション入りすることになった経緯がある。
メンバーのゲストとしてプレーすることはできても、女性にはハードルの高いコースだったこの場所で、全英女子オープンが行われることは歴史的にも大きな意味がある。
米ツアー6勝の畑岡奈紗は、その辺りの事情を承知した上で、初のメジャー制覇に意欲を燃やしている。「女子がなかなかプレーできなかったところなのでいいプレーがしたい。ショットは風の打ち分けもできているので、後はグリーン上だけ」と自信も深まっている。
今季のメジャーでは、全米女子プロ最終日の難コンディションの中、69で回って5位タイに入ったこともあり、手応えを持ったまま大会に臨む。
好調の勝や西郷、そしてメジャー優勝者の渋野、笹生らにも期待
日本ツアーで自信を深めて渡英したのは勝みなみだ。楽天スーパーレディースで圧勝し、勝利の美酒に酔う暇もなく現地入りした。
元々、出場権がなかったが、直前になって出場資格が繰り下がってきた勝。出場を決め、遠征の手配を母に進めてもらうのと並行して、日本で全力プレー。72ホールノーボギーという4日間大会では国内女子ツアー史上初の最高のプレーで結果を出したことで弾みがついた。
あまりにも急だったため下調べは不十分だが、「行ってからのお楽しみにしようかなと思っています」と、それも含めて楽しむ気持ちでいる。
西郷真央も、楽しみな1人だ。全米女子オープンで初めてメジャーに出場して予選を通過(44位タイ)すると、全米女子プロ(30位タイ)、アムンディエビアン選手権(3位タイ)と、3試合続けて予選を通過した。
特にエビアン選手権では、最終日の猛チャージで優勝も狙えそうな力を見せている。その経験が、今季最後のメジャーでどんな風に花開くのか注目したい。
不調脱出のきっかけを探っているのは、2019年大会王者の渋野日向子だ。
古江とともに米ツアーのルーキーとしてプレーを続けているが、ここのところショット、パットとも迷路に迷い込んでいる。初出場でいきなり優勝しブレイクした思い出の大会で何かをつかもうと、必死の戦いが続く。
また、2021年全米女子オープン優勝の笹生優花は、前週のスコットランド女子オープン最終日に10バーディーと復調の兆しを見せている。ダブルボギーが2つあったため、6つスコアを伸ばすにとどまったが、勢いが戻ってきている中で迎えるメジャーで、どんなふうに天候やコースと戦っていくことになるのだろうか。
その他にも、西村優菜、高橋彩華、堀琴音、山下美夢有、藤田さいき、そしてアジアパシフィック女子アマ優勝の東北福祉大2年の橋本美月が出場。総勢12人の日本勢の活躍に期待が高まる。