◆海外女子プロツアー<AIG全英女子オープン 8月4日~8月7日 ミュアフィールド(スコットランド) 6649ヤード・パー71>
渋野日向子が忍耐のゴルフで優勝争いに踏みとどまった。シーズン最後のメジャー、AIG全英女子オープン2日目(現地5日)に6アンダーの単独首位で臨んだ渋野は、難しいパットを沈めまくるガマンの1日。2つスコアを落としたものの、首位のチョン・インジ(韓)に4打差の通算4アンダー7位タイで、2019年以来の大会2勝目が狙える位置をキープした。12人出場している日本勢のうち4人が予選を通過。中でも、この日、3つスコアを伸ばした山下美夢有が、通算5アンダー5位タイと日本人最上位につけた。
「パターが頑張ってくれた」優勝争いに踏みとどまった渋野日向子
「ホントに今日はパターが頑張ってくれました。微妙なのが入ってくれたので、ボギー3つですみました」
苦笑交じりに言った渋野の言葉通り、難しいパーパットを何度も何度も沈めた。
女性がプレーするハードルの高かったミュアフィールドで初めて行われた女子の大会。そこでの初日首位という歴史を刻んだ翌日のプレーは、一転して苦しいものになった。
1番で右ラフからグリーンを左に外すと、5メートルのパーパットが入らずボギー。2番でも3メートルのパーパットを残す大ピンチ。だが、これをしっかり沈めてパーセーブし、ずるずるとスコアを落としてもおかしくない流れに歯止めをかけた。
3番、4番、5番と惜しいところでバーディーパットが入らず、6番で2つ目のボギー。それでもこの日の渋野はしっかり顔を上げてプレーを続けた。
9番パー5で右上から4メートルを入れて、この日初バーディー。ようやく笑顔がこぼれる。10番でバーディーパットを3メートルもオーバーさせるピンチにも、返しのパットを沈めてパーセーブ。
「狙いに行くパットじゃないけど、返しの3メートルをしっかり決めれたことが後につながった」という言葉通り、カギを握るホールとなった。
左ドッグレッグの14番では、コーナーにあるバンカーからボギーを叩いたが、ペースを乱されることはなかった。通算4アンダーの7位タイに踏みとどまって、週末に望みをつなげた。
「久しぶりの4日間のラウンドなので、明日も楽しんでいい位置におれる(いられる)ように」という言葉は、大会2勝目に向けての意欲を示すものに他ならない。
「スコアが勝手についてきた」山下美夢有は3打差で決勝Rへ
一気に日本勢トップに浮上してきたのが山下だ。
圧巻は5番のパー5。手前から転がして2打でグリーンに乗せたボールが、するするとカップに寄っていく。1.2メートルまで近づいたパットを、しっかり沈めてイーグル奪取。通算4アンダーとして波に乗った。
9番ボギーの後、11番では4メートルの下りのスライスラインを入れてバーディー。12番でも1.5メートルを入れて通算5アンダーとした。13番はボギーにしたものの、最後のパー5、17番では、7メートルのイーグルパットがカップをのぞきかけて止まるバーディー。前日の10位タイから、首位に3打差の5位タイにジャンプアップした。
「前半、イーグルが取れてそこから流れよく回ることができました」と、風の中のプレーに疲れも見せず、笑顔で元気いっぱい。
「リンクスの攻め方を練習ラウンドから考えながらやってたんで、スコアが勝手についてきた」と、コースマネジメントに徹したことが奏功した。
決め手はショートゲーム。パーオンできないホールが9ホールあったが、グリーン周りから絶妙に寄せて、パーパットを沈めることでボギーを2つだけにとどめた。
逆転優勝も十分に狙える好位置で迎える週末。「アゲンストで左右に持っていかれやすいので、そこだけ気をつけて、楽しみながら上位で回れたらいいなと思います」と、変わらずのマイペースで、優勝争いに突入する。
畑岡奈紗、堀琴音は17位タイ。残り8人は予選落ち
上がり2ホールで連続バーディーと意地を見せたのが畑岡奈紗だ。
イーブンパーの26位タイからスタートして、2バーディー、2ボギーと伸び悩みながら終盤を迎える。だが、このままでは終わらない。17番、18番と連続バーディーでフィニッシュして、通算2アンダー。首位に6打差17位タイと、十分逆転ができる位置に残った。
また、強風の初日に1オーバーでプレーした堀琴音は、穏やかなコンディションの中、2日目は4バーディー、1ボギー。通算2アンダーで、44位タイから17位タイに順位を上げた。
全英初出場だったキングスバーンGLでの2017年と比較して、「全部のレベルが上がった」と自分を評価して笑みを浮かべる。あと2日間、それを実感しながら、結果が出れば最高だ。
先週優勝の古江彩佳と西村優菜は、通算4オーバーの66位タイで1打足りずに予選落ち。西郷真央は通算5オーバー83位タイ、笹生優花、高橋彩華は通算6オーバー93位タイ、アマチュアの橋本美月は通算7オーバー103位タイ、勝みなみは通算10オーバー124位タイ、藤田さいきは通算19オーバー142位タイで、いずれも早々に大会を終えている。