◆国内女子プロツアー<日本女子プロゴルフ選手権大会コニカミノルタ杯 9月8日~9月11日 城陽カントリー倶楽部(京都府) 6555ヤード・パー72>
山下美夢有が、ビッグタイトルに王手をかけた。
第55回日本女子プロゴルフ選手権大会コニカミノルタ杯の3日目、9アンダー首位でスタートした山下は、4バーディー、1ボギーでスコアを3つ伸ばして通算12アンダー。2位の森田遥に2打差の単独首位に立ち、5月のワールドレディスサロンパスカップ以来、2つ目の公式戦制覇に大きく近づいた。
予選ラウンドで出遅れていた西郷真央も猛チャージで5打差の8位タイに浮上し、逆転を狙う。2日目を終えて、山下と首位に並び最終組でプレーしていた菅沼菜々と川岸史果は、菅沼が17番のダブルボギーで8アンダー4位タイに後退。川岸は4つスコアを落とし、5アンダー23位タイと優勝からは遠のいた。ディフェンディング・チャンピオンの稲見萌寧は、通算4アンダー30位タイ。連覇は厳しい状況となっている。
山下美夢有が堂々の逃げ切り優勝へ
プレーの合間には笑顔ものぞかせながら、淡々と優勝へと向かっていく。
身長150㎝の体が、時には大きく見える貫録のプレーぶり。シーズン2勝を挙げ、メルセデスランキング首位でツアーを引っ張る山下は、勝てば公式戦2連勝となるが、大会前から「特にあんまり考えていません」と、無意識を貫いて、好プレーを続けている。
決勝ラウンドの目標は「ノーボギーで回ること」と言っていたが、この日は2番でボギーが先行してしまう。だが、すぐに切り替えて4バーディーを奪い単独首位に。それでも、内容的には不満が残る。
「後半は本当に…なんであんなん入らねんのやろ、って。1ピン(2.5メートルのチャンス)が入らなかったのは、後半だけでも3回くらいありました」と、ぼやいた。
最終日に向けては、「本当にパッティングだと思う。ラインとタッチが合えば入ると思うので、信じて頑張ろうという感じです」と、マイペースを貫く。
9月に入り、今大会を含めて残りは12試合になったが、「あと1~2勝できたらいいな。チャンスが来れば勝ちたいですね」と不敵に目を輝かせた。
まずは1勝。公式戦という以前に、その気持ちが強い。
5年ぶりのツアー2勝目に挑む森田遥
鮮やかなイーグルに、拍手と歓声が響く。
軽い右ドッグレッグの15番は355ヤードのパー4。フェアウェーから残り136ヤードを9Iで振り抜いた森田の第2打は、少し手前にキャリーし、グリーンでもう1回弾むと、するするとカップに吸い込まれた。
「アブないホールはなくて、ショットはいい感じが続いていたけど、パットが…。入れ頃、はずし頃が入らずイライラしていたんですけど、15番でイーグルが来て吹っ切れました」と、笑顔をのぞかせる。
首位に2打差でスタートし、6番のバーディーの後は「イライラしていた」と言いながらも、丁寧なプレーを続けたご褒美のような15番のイーグルだった。
「明日は、獲れるところでちゃんと獲って行ければいいかな。自分の持ち味のパットが行かせれば、いい結果がついて来るんじゃないかな」と、口にした。
今季は、ニチレイレディス2位の後、7月のニッポンハムレディス以降、6試合で3回トップ10入りと好調だが、先週のゴルフ5レディスは、股関節痛で欠場している。
だが「もう大丈夫です」と、これを乗り越えて、2017年の北海道meijiカップ以来、5年ぶりとなるツアー2勝目に意欲を燃やしている。
優勝圏内へジャンプアップ!猛チャージ見せた西郷真央
ムービングデーのこの日、猛チャージを見せたのが西郷真央だ。
2日目を終わって首位の山下とは8打差、通算1アンダーの43位タイとあって、この日は10番からスタートの”裏街道“。そこからの大まくりだ。
12番、14番、1番、8番とバーデイーを重ね、ジワジワと順位を上げて、最終ホールの9番がこの日のクライマックスだった。320ヤード・パー4の第2打をカップインさせるイーグルフィニッシュで通算7アンダー。首位とは5打差ながら、逆転優勝が可能な8位タイまで順位を上げた。
開幕戦のダイキンオーキッドレディスで初優勝して以来、すでに5勝を挙げているが、公式戦タイトルはまだない。
2022年ツアー序盤戦を引っ張った20歳は、6月の全米女子オープン以降、海外遠征を重ねた。メジャー3試合を含む4試合でプレーし、3試合で予選を通過。アムンディ・エビアン選手権では最終日の猛チャージで3位に入り、実力を示した。
その分、留守にした日本ツアーでは、メルセデスランキングで山下に抜かれたが、まだシーズンは残り2か月以上ある。再び、ツアーを引っ張り、頂点に立つために。西郷は初の公式戦タイトルに挑む。
昨年大会では、舞台がジュニア時代から何度もプレーしたことのある静ヒルズCC(茨城県)だったこともあって2位に入っている。何度も優勝争いをしながら勝てなかった試合の1つでもある。だが、その経験を無駄にすることなく、しっかりと糧にして今季、花開いている。
大会前に、コースについて「すごく難しいので自分がどこまでアジャストできるか」と口にしていたが、3日目にしてしっかりと攻略したのは、スコアが証明している。この勢いで、逆転にかける。