アーノルド・パーマーは永遠に「王様」です 【舩越園子 ゴルフの泉】

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ファンにサインを求められるアーノルド・パーマー(1996年Senior PGA Championship) 写真:Getty Images

ゴルフ界の「キング」とは、誰のことを指すのか、みなさんはご存じですか?答えはアーノルド・パーマーです。2016年9月25日、患っていた心臓病が悪化し、87歳で天国へ旅立ってしまいましたが、今でもゴルフ界のキングは、やっぱりパーマーだと誰もが思っています。

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スーパースターって本当にオーラが出ている

「王様」パーマー(右)と「帝王」ジャック・ニクラス(左)の2ショット(1963年マスターズ) 写真:Getty Images

 1993年に私が渡米したとき、パーマーの全盛期はすでに過ぎ去っていたため、私はパーマーの最強時代のゴルフを目の前で見ることはできませんでした。

 でも、パーマーは全盛期を過ぎた後も、最後まで、アメリカのスーパースターであるオーラ、ゴルフ界のキングであるオーラを漂わせていました。

 私が初めてパーマーに直に接したのは1996年。彼のお膝元であるフロリダ州のベイヒルで開催された大会で、私は勇気を振り絞り、「パーマーさん、写真を撮らせてください」と声をかけました。

 するとパーマーは無言のまま、にっこり笑い、俳優みたいにポーズを取ってカメラ目線をくれました。その様子がなんとも格好良くて、いやあ、スターって、こういう雰囲気を醸し出すんだなと思いました。

パジャマ姿でも王様は王様でした

石川遼とともに笑顔を見せるパーマー(2009年Arnold Palmer Invitational) 写真:Getty Images

 その翌年だったか、私はレンタカーを運転し、ベイヒルの広いリゾートの中でメディア用の駐車場を探して道に迷っていたら、突然、「どうしたんだ?迷子かい?」

 声の主は、乗用カートに乗ったパーマーでした。そしてパーマーは「私に付いておいで」と言って、乗用カートで先導してくれました。

 また、別の日の朝、まだ日の出前の薄暗い中をメディアセンターに向かって歩いていたら、犬の散歩をしていたパーマーに遭遇。

 パーマーはよれよれのパジャマ姿だったので、見てはいけないのかなと思った私は思わず目をそらしたんです。でも、パーマーはにっこり笑顔で「グッド・モーニング!」と声をかけてくれました。

 格好とか、体面とか、そういうことには全然こだわらず、優しく温かい。だからパーマーはキングとして尊敬され続けているのだなと感じました。

 パーマーがいなかったら、今のプロゴルフ界の成功はありませんでした。その意味でも、パーマーは、永遠のキング、王様です。

文/舩越園子(ゴルフジャーナリスト)

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