日本プロゴルフ協会(PGA)が開催している2023PGAティーチングプロアワードで最優秀賞に輝いたのが、A級ティーチングプロの松下利則プロです。その松下プロが提唱するレッスン理論「スイムストレッチエクササイズ」を、3回シリーズでご紹介します。
長くゴルフ人生を楽しむためにまずはスタート地点を知る
ゴルフは、老若男女関係なく誰もが楽しめる、生涯スポーツとして代表的な種目です。
松下利則プロが最優秀賞を獲得!2023PGAティーチングプロアワード
では、一般ゴルファーの一番の悩みは何でしょうか?私のレッスンの生徒さんからは、「飛距離をもっと伸ばしたい」という答えが一番多く返ってきます。
しかし、その悩みを解決するための努力や工夫をせず、力任せにスイングしようとしている人がほとんどではないですか。大阪で体育教師を42年間務めた経験から、自分の体力をきちんと把握していない人が意外に多いと感じています。
松下利則(PGAティーチングプロA級)
和幸カントリー倶楽部(大阪府枚方市)所属
42年間の体育教師時代に水泳部の顧問を務め、自身も50歳まで水泳競技に挑戦。定年後の68歳の時に過去最高年齢にてティーチングプロの資格を取得した異色のティーチングプロ。
もちろんスイングを安定させることは飛距離アップの基本ですが、基礎体力がしっかりしているかどうかが、安定したスイングの基礎になります。そこで、まず行ってもらいたいことが体力診断テストなのです。
中学や高校で誰もが一度は経験したことがある体力診断テストの中から、握力(筋力)、上体起こし(持久力)、長座体前屈(柔軟性)、反復横跳び(瞬発性)の4種目を行い、まずは自分の身体の衰えている部分を見つけ出しましょう。
その後、ストレッチエクササイズを行うことで衰えている部分を強化し、スイングの安定や飛距離アップにつなげることができるのです。
自分の衰えている箇所を自覚する
では、4つの体力診断テストのやり方を指南していきます。まず握力ですが、市販の握力計で測定してください。人差し指が直角になるように調整して、左右の手を2回測定します。
スポーツ庁が毎年行っている体力・運動能力調査(令和3年度)によりますと、男性では30~34歳の46.96㎏をピークに、年齢が上がるにつれて平均値は下がっていきます。
続いては、上体起こしです。まず仰向けの状態で、両腕を胸の前で組みます。次に両膝を90度に曲げて、補助者に両膝をおさえてもらった状態で、両肘と両大腿部が付くまで身体を上げます。30秒間に何回身体を上げられるか、回数を計測(1回)して下さい。
体力・運動能力調査(令和3年度)によると平均値の最高は、男子が17歳の31.11回。女子は14歳の24.55回となっています。
柔軟性を調べる長座体前屈ですが、私は段ボールをつないだ特製の器具を使って測定しています。壁に背中とお尻をつけた状態で座り、つないだ段ボール箱の間に両足を入れます。両腕を伸ばして親指と人差し指の間に箱の端を挟んで、ゆっくり身体を前に倒して何センチ押し出せるか測定します。
最後は、反復横跳びです。床に3本のラインを1mの間隔で引き、真ん中のラインをまたぎ、はじめの合図でサイドステップを繰り返し行います。1ステップ1点として、20秒間計測します。
いかがだったでしょうか?学生時代とは、勝手が違っていたかと思います。今回行った体力診断テストの男女別、年齢別の平均値は、スポーツ庁の体力・運動能力調査(https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&toukei=00402102&tstat=000001088875)にて確認できますので、気になった方はチェックしてみてください。
平均値より劣っている箇所が自身の衰えているところですので、自覚したうえで、次回ご紹介するスイムストレッチエクササイズで、その部分を補っていきましょう。