◆国内女子プロツアー<伊藤園レディスゴルフトーナメント 11月11日~13日 グレートアイランド倶楽部(千葉県) 6741ヤード・パー72>
山下美夢有が逆転優勝を飾り、ポイント制となった最初の年の年間女王を決め、うれし涙をあふれさせた。
伊藤園レディス最終日(13日)は、首位でスタートした上田桃子を山下が2打差、岸部桃子が3打差で追う最終組のし烈な争い。勝負は大詰めまでもつれ込んだが、安定したプレーを続けた山下が優勝。21歳103日で、ツアーの頂点に立った。
カッツポーズに涙のスピーチ。珍しく感情を爆発させた
どんな場面でも、感情の起伏をあまり表に出さない山下が、感情を爆発させた。最終18番で、3メートルの微妙な距離のウイニングパットを沈めた瞬間だ。何度もガッツポーズをし、歓喜をあらわにする。
シーズン4勝目。2試合を残して、年間女王の座も決め、表彰式では涙を流しながらスピーチした。それほど、感情が高まった優勝だった。
涙の理由は、春先に、ディフェンディング・チャンピオンとして迎えたKTT杯バンテリンレディスから、3週連続予選落ちした時の苦しさを思い出したからだった。
苦しい戦いの最中、耐えてチャンスを待った
前半は、我慢比べのような戦いだった。
風が強く、ピン位置も難しいコンディションの中、上田も山下もパーを重ねていく。その隙に岸部が2つバーディーを奪い、三つ巴の戦いが続く。
女王タイトルがかかる山下、先週逆転負けのリベンジをしたいベテラン上田、初優勝を狙う岸部。それぞれの思惑が入り混じり、緊張感が高まる。
勝負が動いたのは、パー5の15番だ。山下、岸部がバーディーを奪い、上田はパー。通算12アンダーで3人が並んで、大詰めへと突入していく。
16番で上田がダブルボギーを叩き、岸部が17番でボギー。山下も18番で3メートルのパーパットが残ったが、これを沈めて勝利を決めた。
「風もあったし、耐えてチャンスが来るのを待とうと思っていました」
作戦通り、バーディー1個、パーが17個のゴルフで、見事にシーズン4勝目を挙げた。山下の真骨頂だった。
21歳103日の貪欲な女王
21歳103日の若さで、ツアー2年目での女王タイトル。
プレー中はまったく忘れていた。ホールアウト後に関係者から知らされて、「ああ、そうなんや」と思ったほどの集中力も強さの秘密だろう。
だが、女王になるのは大きな目標だった。「達成できてよかったです」と語り、今季の出来は90点だという。残り10点に、たくさんの課題があるというところと、「女王になっても何も変わらない」とまだまだ伸びしろだらけのところ。
さらに、「まだ2試合あるのでしっかり上位で優勝目指して頑張ろうと思います」と、貪欲なところにも、大きな期待がかかる。
子供の頃からPGAツアーをテレビで見ることが多かったため、あこがれの選手はタイガー・ウッズ。海外志向もあり、夢は広がる。