◆海外女子プロツアー<KPMG全米女子プロゴルフ選手権 6月22日~6月25日 バルタスロールゴルフクラブ(ニュージャージー州) / 6621ヤード・パー71>
悪天候での中断が、日本勢2人の明暗を分けた。メジャー第2戦『KPMG全米女子プロゴルフ選手権』最終日(現地時間25日)は、最終組のプレーが半ばに差しかかったところで悪天候のため約2時間中断。この直後から猛チャージを見せた笹生優花は、イン・ルオニン(中国)に1打及ばなかったものの、2021年『全米女子オープン』以来のメジャータイトルまであと一歩の2位となった。対照的に、古江彩佳は13番までに6バーディーを奪い、首位に1打差に迫っていたタイミングで中断。再開後の切り替えがうまくいかず、通算5アンダー8位タイに終わっている。
次のメジャーが楽しみな笹生優花
笹生が、久々にメジャー優勝者らしい豪快なプレーを披露した。今季は予選落ちも多い笹生だが、3週前の『みずほアメリカズオープン』で7位タイで見せた復調の気配は本物だった。
意外にも距離のジャッジができないレクシー・トンプソンの強さの秘密
首位のレオナ・マグアイヤ(アイルランド)に5打差の2アンダー8位タイで迎えた最終日。前半は、なかなかパットが入らず、7番のパー5でのバーディー1つという内容で、9番を終えたところで中断を余儀なくされた。
流れが変わったのは、プレーが再開されてから。のびのびとした歯切れのいいプレーで、10番でチップインバーディー。12番、13番と気持ちよくバーディーを重ね、15番で6.5メートルを沈めて通算7アンダーにして首位に並んだ。
パー3の16番でティーショットをショートサイドのバンカーに入れてボギーを叩き一歩後退したが、17番、18番とパー5が続く上がりも積極的なプレーを続けた。
17番はティーショットがラフに入ってしまい、3メートルに3オン。パーに終わったが、18番では左バンカーからの第3打を絶妙なショットで30センチに寄せてバーディー。通算7アンダーの首位でホールアウトした。
プレーしているのはあと2組6人。首位スタートのマグアイヤはすでに優勝争いから脱落しており、堅実なプレーを続けていたインのプレー次第という展開になった。17番で2メートルのチャンスを決めきれなかったインだが、18番では手前2.5メートルのバーディーチャンスをしっかりと沈めて通算8アンダー。ツアー2勝目をメジャー初タイトルで決めた。
あと1打及ばなかった笹生だが、表情は極めて明るい。
「ホントにヒストリー(歴史)があるゴルフ場で、1週間、試合ができてうれしい。先輩たちと楽しいゴルフができました」と、笑顔で振り返るメジャーウイークは大きな収穫だった。
次のターゲットは、3週後に控えた『全米女子オープン』(7月6日~7月9日)。舞台となるのは、PGAツアーが毎年行われるペブルビーチGL(カリフォルニア州)だ。「(調子は)まぁまぁだと思います。1週間休んで、準備していきたい」と、淡々と、だが力強く口にしており、自信を取り戻している。
古江彩佳は6バーディーの猛攻も中断で失速
古江彩佳は、笹生とは対照的に中断で勢いを削がれた。
1番バーディーの後、7番から3連続バーディーを奪い、12番、13番でもバーディー。通算6アンダーで首位に1打差と優勝争いに顔を出し、白い歯がこぼれる。
だが、このタイミングで、プレー中断のホーンが鳴った。残り5ホール。待つことしかできないもどかしい時間を過ごした。
やっと再開した後は、14番で初めてのボギーを叩くと、15番でも連続ボギー。流れが変わってしまった。
17番では、最後の力を振り絞ってバーディーを奪ったが、通算5アンダー。8位タイで大会を終えた。
それでも、開幕以来の安定したプレーが、メジャーの舞台でも発揮できたのは大きい。メジャーが続く今後に向けて、存在感をアピールした。
渋野日向子も笹生を応援!
8人出場していた日本勢のうち、笹生、古江も含めて4人が予選を通過。
西村優菜は通算3オーバー39位タイ。トリプルボギーもあったが、それを補うバーディーもあり、持ち前の攻めのゴルフは健在だ。
メジャータイトルを渇望している畑岡奈紗は、通算4オーバー47位タイ。今季は残り3つとなったメジャー(全米女子オープン、エビアン選手権、AIG女子オープン)に望みをつなぐことになる。
西郷真央、野村敏京、勝みなみ、渋野日向子は予選2日間で姿を消しているが、渋野は最終日、コースに姿を見せた。優勝争いをしている親しい笹生を応援しながら、最終組について歩く姿が目立った。残念ながら笹生は2位に終わったが、渋野にとってはいい刺激になったに違いない。
優勝したルオニンは、ツアー2勝目の20歳。2020年に中国でプロに転向している。今季、『DIOインプラントLAオープン』で初優勝したが、ツアー2勝目がビッグタイトルとなった。