◆国内男子プロツアー<ハナ銀行インビテーショナル2023 6月15日~6月18日 千葉夷隅ゴルフクラブ(千葉県) /7625ヤード・パー73>
『ハナ銀行インビテーショナル2023』最終日は、1打差の3位からスタートした韓国のヤン・ジホが通算20アンダーにスコアを伸ばし、逆転で日本ツアー初優勝。首位タイで最終日を迎え、2週連続優勝を目指した中島啓太は、悔しい1打差の2位に終わった。日韓の選手による混戦模様となったツアー初の共同主管大会は、いくつものエピソードを生んで、その幕を下ろした。
夫婦でつかんだ日本ツアー初優勝
中島とのデッドヒートの末、見事逃げ切ったヤンだが、実は最終日のペアリングが決まった時点で重圧に苦しめられていたという。
「中島選手とは会ったことがなかったですが、ペアリングを見た時にプレッシャーを感じてました。先週優勝していますし」
そのためにとったのが、中島と距離を置く作戦。「普段であれば僕の方から挨拶したりしたと思うんですけど、今日はあえて朝から目を合わさずに、距離を置くことでペースを維持しようと思っていました。それが今日の試合の助けになったと思います」
さらにそんなヤンを支えたのが、今大会でキャディーをつとめてくれた夫人。「プレッシャーを感じると、頭を振る癖があり、直せば良い成績を出せると思っていました。(癖が出ると)妻が隣で教えてくれて、認識することができました。試合中ナーバスになったり、イライラしたりした時に、気持ちを受け止めてくれて感謝しています。愛しているよと伝えたい」と、感謝することしきりだった。
中島啓太は「体がボロボロだった」と衝撃の告白
デッドヒートの末、ヤンに1打のリードを許して迎えた最終18番は551ヤードと2オン可能なパー5。ティショットはファウェイをとらえたが、勝負の2打目は意図したドローがかからない。狙った着弾地点よりもはるか右に落ち、ピンまで約9mのイーグルパットを残してしまった。
結局両者2パットのバーディーでヤンが優勝。中島はこの4週間で3度目の2位に終わった。
「出し切った感があるのと、勝ちたかった気持ちがあるので悔しいです。最後のセカンドショットが腹立たしいです。もう少しいつものスイングというか、これまで17ホールやってきたような力でやればドローで打ててチャンスにつけたかなと思います」と肩を落とした。
4試合連続で最終日最終組。その疲れが中島の体に重くのしかかっていた。
「バーディーも取れたのですが、体がボロボロの状態でプレーしていた分、ショットが安定していなかったです。今日は疲労を感じましたし、体が動いていないなと感じていた中で、最後まで惜しいところまで行けたのは良かったとは思います」と言ってから、こう続けた。「でも勝ちたかった」
今週は、ジャパンゴルフツアー選手会が主催する『JAPAN PLAYERS CHAMPIONSHIP by サトウ食品』。この試合にも疲れた体にムチ打って、連戦を選択した。「全英まで2週間くらい休めるので、それまでは出ようと思います」
今週の大会初日までに疲れをいかに取れるかが、カギとなりそうだ。
河本力が後輩・中島啓太との優勝争いに意欲
首位から6打差の14位タイでスタートした河本力が66をマーク。通算16アンダーの5位タイで、4月の『関西オープンゴルフ選手権競技』以来、久々のトップ10フィニッシュにつなげた。
この日も4週連続のV争いの末、悔しい2位に終わった中島は、日体大の1年後輩。試合中は、ほぼ毎日一緒に夕飯を食べる間柄だけに、「後輩には負けないぞっていう」思いは常にある。
昨年は『Sansan KBCオーガスタ』、『バンテリン東海クラシック』と猛暑のシーズンに2勝。
中島が、「(河本は)夏に向けて調子を上げてくるんで、自分もそこまでキープしておきたい」と語っていることを報道関係者から聞かされると、「夏に向けて確実に調子を上げれるっていう自信がある。先週『ちょっと良いな』って思うポイントがあって、それが確信に変わる感じになった。今週はコーチも久しぶりに帯同して、ショットに関してはすごい自信もって打てていたんで、夏に向けて調子を上げたいなと思います」ときっぱり。
得意の夏に向けて、先輩の意地を見せるつもりだ。