◆国内女子プロツアー<宮里藍サントリーレディスオープンゴルフトーナメント 6月8日~6月11日 六甲国際ゴルフ倶楽部(兵庫県) / 6513ヤード・パー72>
苦しみながらも岩井千怜が完全優勝で全英女子オープン出場を決めた。JLPGAツアー『宮里藍サントリーレディスオープンゴルフトーナメント』最終日は、5打差単独首位でスタートした岩井を、申ジエ、山下美夢有の実力者2人が猛追。一時は申が1打差に迫ったが、後半も攻め続けた岩井が最後は5打差で突き放し、シーズン2勝目を挙げた。いくつかのカテゴリーで全英出場権がかかった熾烈な戦いを振り返る。
1打差まで迫られた岩井千怜「自分のゴルフをやるだけ」
かつての世界ランク1位の申と、昨年の日本ツアー年間女王の山下。この2人との最終組で、岩井は自分のプレーを貫いた。
「プレッシャーの中、短いようで長いラウンドを制することができて本当にうれしく思います」という最初の言葉は、まさに本音。申に1打差に迫られたときにも、「大丈夫。自分のゴルフをやるだけ、と言い聞かせてやりました」と打ち明ける。
10番の第2打がグリーン手前のバンカーで目玉になるピンチもあったが、「まずパーはムリだと。ボギーで上がろうと気持ちを切り替えた。2打差が1打差になるのがわかったが、次またバーディーを取れば、と思ってプレーした」と冷静だった。
苦しい場面も、意識を変えることで切り抜けた。
「12番から、自分で自分を追い込んでいるというか険しい感じにしているとわかったので、考え方を変えて、見ている人の歓声が聞きたいとイメージした。ファンのみなさんのためにゴルフをしようと考えました。自分が寄せたら歓声が沸く、と言うイメージをしてプレーをしました」
ファンを味方につけたことが奏功。このホールのバーディーで息を吹き返す。14番、16番もバーディーとして通算23アンダー。堂々の完全優勝だ。
今大会の優勝で全英女子オープンへの出場が決定。「出られることがうれしい」と声を弾ませ、さらなる飛躍を誓った。
4位タイの木村彩子も初の全英へ
強烈な“2番手争い”だった。
今大会の優勝者と2位の選手、大会終了後のメルセデスランキング3位までの選手が、『全英女子オープン』(8月10~13日、英ウォルトン・ヒースGC)への出場権を得られるが、その他のカテゴリーで出場権がある者がこのポジションにいる場合は繰り下がることになっていた。
優勝争いを繰り広げる選手のうち、申ジエは歴代優勝者、山下美夢有は昨年の年間女王で、それぞれすでに出場権がある。 優勝に向けて突っ走る岩井千怜はほぼ確定という展開だったが、もう1人が誰になるか。その争いが繰り広げられた。
前日までの順位ならトップは脇元華だったが、最終日は金澤志奈、木村彩子が追い上げた。最終的には、木村と金澤が4位タイ。順位が同じ場合は、規定により、大会前までのロレックス(女子世界)ランキング上位の者が全英切符を手にすることになっていた。
木村が18番でボギーを叩き、同じ通算14アンダーでプレーを終えた2人のロレックスランキングは、木村が213位、金澤が228位。僅差で木村のメジャー行きが決まった。
ホールアウト後、メディアに「全英決定おめでとうございます」と言われて、「えっ本当ですか。ありがとうございます。ビックリでまさか自分が…という感じです」と驚いた木村。まったく全英出場は意識しておらず、「上が抜けていたので、客観的に見ていた」と、今後、改めてメジャーに備えることになる。
2位タイからスタートした脇元は、なかなかバーディーが取れず、1ボギーで通算13アンダー6位タイに終わった。
岩井明愛はメルセデスランキングで全英切符を獲得
メルセデスランキングで全英出場を決めたのが、双子の姉、岩井明愛だ。
この日は2つスコアを落とし、通算9アンダー15位タイに終わったが、大会終了後のメルセデスランキングは4位。同ランク1位は山下、2位だった妹の千怜は今大会優勝、3位は申と、いずれも他のカテゴリーで出場権があるため、出場権が繰り下がった。
最終予選から出場権を手にした『全米女子オープン』に続いて決まった双子でのメジャー出場。「うれしいです。(双子での出場は)一緒に頑張ってきたチームとしてもうれしいです」と、この日のプレーの悔しさを払しょくするように笑顔になった。
「(全英は)渋野(日向子)さんのイメージしかない。同じ日本人として勝てるチャンスもあると思う」と、大きな夢に向かって突き進む。
残る2つの枠は、今大会でともに18位タイだった穴井詩(ランキング5位)と吉田優利(ランキング6位)が獲得している。