今年の『ワールドレディスチャンピオンシップサロンパスカップ』で、『JLPGA Welcome Babies &Kids Project Supported by 住友商事』という新しい取り組みがスタートし、日本ツアーにも託児所を設ける取り組みがスタートしました。今回は、2021年に久々にJLPGAのトーナメント会場へ足を運んだ時に、そこで感じた日米の差についてのお話をしたいと思います。
アメリカには必ずあるのに日本にはないもの
アメリカ生活25年を経た私が、ほぼ四半世紀ぶりに目にした日本の女子ツアーの試合会場には、「日本には必ずあるのにアメリカにはないもの」が見て取れる一方で、逆に「アメリカには必ずあるのに日本にはないなあ」と思えるものもありました。
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アメリカでは、男女どちらのツアーでも、試合会場には選手や関係者の子どもたちを預かるデイケアがあります。でも、日本の試合会場に託児所が設置された前例は、ほんの数えるほどしかないと聞いて驚きました。
その大会には、出産して子育て中の横峯さくら、若林舞衣子が出場しており、ママの試合中、彼女たちのベイビーは、どこでどうしているのかを、彼女たちに尋ねてみました。
2014年に結婚した横峯は、以来、夫の森川陽太郎さんがキャディを務める“二人三脚スタイル”で試合に挑んでいます。2021年2月に男の子を出産し、5月から戦線復帰したばかりですが、「今は、試合会場のそばに家を借りて、そこで夫の母が子どもを見てくれています。そうできる環境はありがたいけど、経費がめちゃくちゃかかります。そのぶん頑張って稼ぎます(笑)けど、これからの若い選手のためにも、試合会場に託児所ができるよう、私自身、意見を発信していきます」と話してくれました。
ママさんゴルファーのために進化し続けなければならないツアー
一方、2019年に男の子を出産した若林は2020年から戦線復帰。2021年当時は、「東京の自宅で姉や夫が息子を見てくれています」という“単身赴任スタイル”で試合に臨んでいました。
「もう、ゴルフで結果を出してから結婚出産という時代ではなく、今は結婚も出産も早くして、早く試合に戻るのが理想。試合会場は女性の働く場なので託児所がほしいです。でも、結果を出さないと発言しても聞いてもらえないので、とにかく結果を出したいです」
話を聞いた時には、熱く語ってくれた彼女たちから幸せなエネルギーをもらった想いでしたし、頑張るママさんプレーヤーたちの気概が日本の女子ゴルフの環境をどんどん改革してくれそうな気がしました。
今シーズンは、『ワールドレディスチャンピオンシップサロンパスカップ』を皮切りに、レギュラーツアーとステップ・アップ・ツアーのいくつかの大会で託児所が設置されるようですが、こうした取り組みがもっと普通になってくれるといいなと思っています。
文/舩越園子(ゴルフジャーナリスト)