◆国内男子プロツアー<ゴルフパートナーPRO-AM トーナメント 5月18日~5月21日 取手国際ゴルフ倶楽部(茨城県)/ 6804ヤード・パー70(東)>
入場無料で開催された国内唯一のプロアマ形式によるトーナメント『ゴルフパートナーPRO-AM トーナメント2023」は、フィリピンのJ・パグンサンが優勝。トーナメントウィークに生まれたエピソードを、ピックアップしてお届けする。
倉本昌弘の後輩・呉司聡が11位タイと健闘
2日目に東コースで63の猛チャージを演じ、初日の52位タイから5位タイにジャンプアップ。注目を集めたのが、神奈川県出身の呉司聡(ご・しそう)だった。
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9歳から競技ゴルフを始め、神奈川県の浜岳中学3年時に『関東中学選手権』などで優勝。栃木県の作新学院に進学した。
1年生時に「関東高校選手権」を制すると、父の勧めで9月に渡米。サウスカロライナ州のIJGAゴルフアカデミーに学んだあと、倉本昌弘、レックス倉本らも学んだイーストテネシー大に進学。NCAAの試合で3勝を挙げ、2021年のオールアメリカンにも選出された。
同い年の大西魁斗は前年度の全米選抜メンバーで、当時の留学仲間として仲が良い。それだけに昨年のフジサンケイクラシックで優勝を飾り、今年は米下部ツアーのコーンフェリーツアーで奮闘中の大西の存在は大いに刺激になっている様子。
今回は11位Tに終わったが、米本土で活躍するためにも、まずは大西もゲットしたツアー初優勝が欲しい。63をマークした爆発力は、今後も注目を集めそうだ。
アマチュアのスクラッチ戦は平野さんが連覇
2日間36ホールのアマによるスクラッチ戦は、平野大樹さんが通算1アンダーで2年連続の優勝を飾った。
昨年は通算イーブンパーでの優勝で、今年は昨年の記録を更新しただけでなく、出場51人中ただ1人アンダーパーのおまけつき。2位に3打差と、圧倒的な実力差を見せつけての勝利だった。
国内で唯一、プロとアマが最終日まで同じ組でラウンドできるトーナメントで2日間とも最終組で回り、優勝争いを目の前で見続けたことも、大きな収穫。JGTOの公式サイトによれば、「蟬川選手の体の使い方と、パグンサン選手のパットの集中力が勉強になった」という。この貪欲さがある限り、目指しているプロ転向も、そう遠い将来ではない。
パグンサンが“孤高の戦い”の末ツアー2勝目
J・パグンサンが、またも“孤高の戦い”に勝利した。
パグンサンはツアープロのトーナメントでは珍しく、キャディーの力を借りずセルフプレーを選択している。まさに独力で4日間を戦い、23アンダーでツアー通算2勝目を飾った。
かつて日本、アメリカのトップツアーなど、競技の多くではプレーのペースを一定に保つなどの理由から、キャディーを必ずつけなければならないという規定があった。だがその状況を一変させたのが、コロナ禍。感染リスクを減らして試合を行う方策として、セルフプレーを認めるケースが発生。
日本の男子ツアーも新型コロナ対策特別規定により、セルフプレーを認める場合があるとの路線に舵を切った。
その結果、2021年にはセルフプレーで優勝する選手が続々と誕生。この年、バグンサンが『~全英への道~ミズノオープン』で優勝した時には、すでに2人のセルフプレーによる優勝者が生まれていたが、いずれも手押しの電動カートにバッグを積んでのもの。ジュニアゴルファーのように背中にバッグを担いで優勝したのは、パグンサンが初めてだった。
その理由をバグンサンは、「(電動)カートを使うとグリーンを横切れないから」と語っていたが、担ぎのゴルフは体に負担がかかる。そのためバッグの軽量化を狙い、アイアンを4本抜き19度のユーティリティを投入。11本のクラブを駆使して、優勝にこぎつけた。
だが、今回は一転して、電動カートを使用しての優勝。というのも、今回はすべてのクラブを新品に変えたばかり。クラブが手になじんでいない段階で特性も理解しきれていないだけに、14本のクラブすべてを使う必要が生じていたからだったという。
新兵器を駆使しての優勝。今年のパグンサンがさらにパワーアップしていることは間違いなく、2勝目、3勝目も十分期待できる。