ゴルフ料金のゴルフ場利用税って何なの?【ゴルフ初心者の疑問に答える】

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写真:Shutterstock

ゴルフ場のプレー料金は総額表示になっていますが、実際にプレーして料金を支払ったときの利用明細を見ると、プレーフィ、カートフィ、ゴルフ場利用税などの項目に分かれています。プレーフィとカートフィは理解できますが、ゴルフ場利用税とはいったい何なのでしょうか?

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ゴルフ場利用税は娯楽施設利用税が名称を変更して存続したもの

 ゴルフ場を利用したときに支払うゴルフ場利用税は、1954年に課された娯楽施設利用税という地方税が前身です。ゴルフ場、ボウリング場、ビリヤード場、パチンコ場、マージャン場などの娯楽施設の利用に対し、施設が所在する都道府県が税金を徴収していました。

 1989年4月の消費税導入にともない地方税法が改正され、娯楽施設利用税は廃止されましたが、なぜかゴルフ場だけは利用者が担税力(税を負担する能力)を持っているということで、ゴルフ場利用税と名称を変更して存続しました。

 しかし消費税導入後に日本経済はバブルが崩壊し、株式市場もゴルフ会員権市場も大暴落しました。ゴルフ場利用者は減り、ゴルフ場は集客に苦戦するようになりました。

 日本のゴルフ場は会員になりたい人たちからお金を先に集め、そのお金でコースを造成したりクラブハウスを建設したりする仕組みで数を増やしていきました。

 会員から集めたお金の一部は、預託金(預かり金)なので10年後に返しますという約束でしたが、その約束が守れないゴルフ場が続出しました。

 預託金が返せないゴルフ場は、会員と話し合って返還期限を10年延長するなど必死にやりくりしましたが、来場者が減ったうえに客単価も下がったので、預託金など返せるはずがありません。

 結局、2000年から2005年の間に日本全国に約2400コースあったゴルフ場のうち約600コースが法的整理を受けました。

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 これによってゴルフ場業界は信頼を失い、会員権を購入してメンバーになるよりもビジターとしてプレーするゴルファーが増えました。

 ところが、ちょうどそのころ、宮里藍選手が女子ゴルフ界で快挙を達成しました。2003年9月の『ミヤギテレビ杯ダンロップ女子オープンゴルフトーナメント』で、高校3年生のアマチュア選手がプロの試合で優勝したのです。

 この快挙によって、ゴルフは特権階級のスポーツではなく、老若男女が楽しめるスポーツというムードが一気に広まりました。

 そうなったとき、ゴルフ場を利用するのに税金を取るのはおかしいのではないかという当然の疑問がゴルファーの間で巻き起こりました。ゴルフ業界関係者は、ゴルフの普及のためにゴルフ場利用税は撤廃すべきだと国や関係各所に働きかけるようになったのです。

地方自治体の貴重な財源になっているため総務省が撤廃に難色を示している

 しかし、これに真っ向から反対するのがゴルフ場利用税を貴重な財源にしている地方自治体です。

 ゴルフ場利用税の税収の7割は、ゴルフ場が所在する市町村に交付されます。この税収がなくなると、市町村の存続が危うくなる自治体が全国各地にあります。

 地方行財政をとりまとめているのは総務省です。総務省はゴルフ場利用税撤廃に反対しているわけではないと言います。ただし、次のような言い回しを使います。

 「ゴルフ場利用税を撤廃するのは構いません。ただし代替財源を出してください」

 そう言われると、ゴルフの普及を担っている文部科学省もそれ以上強く踏み込むことができなくなります。こうしてゴルフ場利用税を撤廃するか存続するかのせめぎ合いは、長年、膠着状態が続いています。

 そうこうしているうちに、近年のゴルフブームによってゴルフ場利用税が存続してもゴルフの普及の妨げにならないことが証明されてしまいました。したがってゴルファーがゴルフ場利用税を支払う日々はしばらく続きそうです。

文/保井友秀

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