ゴルフ場のロッカーにはスリッパが入っています。ところが最近、スリッパの用途を知らないのか、それともスリッパを履くことに抵抗があるのか、自分の靴やゴルフシューズで風呂場に行く人を見かける機会が多くなりました。
靴で風呂場に行くと靴の履き間違えが起こる可能性がある
ゴルフ場がロッカーの中にスリッパを入れている理由は、風呂場に行くときにスリッパを履いてほしいからです。
なぜ風呂場に行くときにスリッパを履いてほしいかというと、靴の履き間違えが起こるからです。
ゴルフ場は入場時のドレスコードで、スニーカーやサンダルでクラブハウスに立ち入るのを禁止している施設が多いです。そうすると男性は革靴、女性はヒールの低いパンプスで入場することになります。
男性の革靴は、今でこそいろんな色やデザインの商品が発売されていますが、第一次ゴルフブームが始まった1957年、第二次ゴルフブームが訪れた1960年代は黒か茶色の二択で、デザインのバリエーションもそんなに多くありませんでした。
靴の色とサイズが一緒だと、自分でも気づかずに他人の靴を履き間違えてしまう事例が多発しました。
この問題に頭を悩ませたゴルフ場は、ロッカーにスリッパを入れ、ロッカーと風呂場の往復にスリッパを履いてもらうことで靴の履き間違えトラブルを防いだのです。
スリッパ場なら履き間違えられても困らない
今の時代は、靴の履き間違えなんて起こらないと思っているゴルファーもいるようですが、ゴルフ場関係者に話を聞くと、1年間に何回かの割合で靴の履き間違えトラブルが起こっています。
靴の履き間違えトラブルがやっかいなのは、本人は自分の靴だと思い込んでいるので、気づかずに家まで帰ってしまう可能性が高いことです。
そうなると風呂から上がってロッカーに戻ろうとしたら、自分の靴がなくなっているゴルファーは非常に困ります。ゴルフ場のスタッフに事情を告げ、場内放送で呼びかけてもらうのですが、なくなった靴が必ず見つかる保証はありません。
最近ゴルフを始めた人たちは、「ゴルフ場のスリッパなんて前の日にどんなオッサンが履いたか分からないのに、そんなの履きたくない」という気持ちがあるのかもしれません。
また、風呂場に行くときに履いたスリッパが、風呂から上がったときになくなっていて、別のスリッパを履いてロッカーに戻らなければならないことに抵抗があるという声も聞いたことがあります。
でも、自分の靴が履き間違えられるのと比較すると、スリッパが履き間違えられるなんてどうってことありません。
ゴルフシューズのまま風呂場に行くのもオススメしません。ゴルフ場の来場者全員が善人であるとは限らないからです。かっこいいゴルフシューズが下駄箱に置いてあったら、周囲の目を盗んで持ち去ろうとする者がいるかもしれません。
そういったリスクを避けるためにも、自分の靴とゴルフシューズはロッカーに入れてカギをかけ、スリッパで風呂場に行くのが賢明な選択です。
文/保井友秀