穴井詩が取り戻した“スイングの軸”とルーキー神谷そらの躍動【国内女子第9戦】

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(左から)穴井詩、神谷そら 写真:Getty Images

◆国内女子プロツアー<パナソニックオープンレディース 4月28日~4月30日 浜野ゴルフクラブ(千葉県)/ 6656ヤード・パー72>

クライマックスで見せたスーパーショットで、穴井詩が今季2勝目を挙げた。雨風のきつい中で最終ラウンドが行われ、穴井が最後の最後に永峰咲希を振り切った。穴井の強さの秘密は、スイングの軸にあった。また、2週連続優勝に挑んだルーキーの神谷そらは、8位タイに終わっている。

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計算通りのバックスピンで決着

 「ウォーッ!」。 雨にも、強い風にもめげず、最後まで戦いを見守ったギャラリーから大歓声が上がった。

 通算9アンダーで先にホールアウトした永峰と同スコアで迎えた18番は498ヤードのパー5。ティーショットをラフに入れてレイアップした穴井は、第3打をカップに入れようと狙っていた。

 「ちょうどいい距離。バックスピンで戻る感じで計算していました」という残り82ヤードのショットは、思惑通りバックスピンでピンから30センチにピタリとついた。カップからボールを拾った右手でそのまま小さく、だが力強くガッツポーズ。満面に笑みが広がった。

 敗れた永峰が、「もちろん悔しいですけど、最後、詩さんがすごいショットを打ったので参りましたと言う感じ」と脱帽した1打だった。

 「すごくうれしいです。(18番は)完璧な球を打ったんで、それにも満足しています」と話し、今季2勝目、通算5勝目に歓喜した。

 毎週、優勝者が変わるシーズンで、複数回優勝に1番乗りだ。「メチャクチャうれしいです。(複数回優勝は)今年の目標の1つなので」と笑う。4シーズンぶりの優勝となったヤマハレディースオープン葛城から4試合目での快挙だった。

今季2勝目を挙げた穴井詩 写真:Getty Images

「軸」を取り戻したことで生まれたスーパーショット

 大人になったことを実感した勝利でもあった。

 この日、バッグを担いでいたのは、コーチでもある石井雄二氏。2008年のプロ転向前後から見てもらっていたが“卒業”した相手だ。以降も相談などはしていたが、結果が出ないことが続いたため改めて頼った。

 その効果がこの試合でも出た。大会初日には安定しなかったドライバーショットを調整するために、バランスディスクを使った。

 「しばらくサボりがちだったバランスディスクに乗ってみたら、どっかに忘れた私の軸を発見しました」

 そう言ったのは、そのドライバーが落ち着いて首位に躍り出た2日目のこと。バランスディスクは、石井コーチと再びタッグを組んでからの重要アイテムでもあった。

 瞬間最大風速が秒速14.4メートルの中でプレーした最終日は、途中見失いかけた“軸”だったが、最後の最後で取り戻し、スーパーショットにつながった。

 次週の『ワールドレディス・サロンパスカップ』には、「もう何年も目標にしているメジャー優勝」の気持ちをかけて臨む大切な1戦。その前に自信を深めた穴井が、ビッグタイトルに向かって突き進む。

神谷そらは2週連続優勝ならず

2週連続優勝には届かなかったが8位タイだった神谷そら 写真:Getty Images

 ルーキーの神谷そらは2週連続優勝に向けて臨んだが、力及ばず8位タイに終わった。前週のフジサンケイレディスで初優勝を飾り、今大会でも首位に5打差で最終日を迎えた。

 差は大きかったが、予報は雨風の強い荒れ模様の天気。「耐えるゴルフになると思うので」と、粘り強いプレーの心構えはできていた。

 だが、結果は1バーディー、1ボギー。追い上げることはかなわなかった。

 難しいコンディションの中で意識したのは、「いっぱい悩むけど、とりあえず考えをまとめて打つようにしています」ということ。ティーショットは悪くなかったが、アイアンショットが左に引っ掛け気味で攻めきれず、「結果が出てないんだから、できていない部分があったのかも」と反省した。

 2週連続優勝は逃したが、初優勝翌週にも優勝が狙える位置でプレーしており調子は悪くない。今年“台風の目”になる可能性のあるルーキーは、まだまだ暴れそうだ。

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