◆国内男子プロツアー<中日クラウンズ 4月27日~4月30日 名古屋ゴルフ倶楽部和合コース(愛知県)/ 6557ヤード・パー70>
42歳のベテラン・岩田寛が65で回り、最終組で回る星野陸也と蟬川泰果を圧倒。通算15アンダーで会心の逆転勝利を飾った。その裏で日大同期の2世による同週Vの夢を抱かせたり、石川遼が相変わらず大会との相性の良さを証明するなど、多くの話題が生まれた今大会。その4日間を振り返ろう。
日大同期2世による同週Vの夢は持ち越しに
日大OBの間でちょっとした話題となっていたのが、プロゴルファーの伊能一郎を祖父に持つ金田直之の初日首位発進。
金田の父親である二郎氏は、川岸良兼と日大ゴルフ部の同期生。川岸がレギュラーツアーで活躍した時代には、マネージャーを務めていた。
一方、同じ週に行われていた『パナソニックオープンレディース』では、その良兼、喜多麻子夫妻の次女である史果も優勝争い。川岸は結局7アンダーの3位、金田も4アンダーの14位タイに終わったが、この分なら今シーズン中に、日大同期2世による同時Vもあるかもしれない。
石川遼はV逸も大会との相性の良さを証明
石川遼にとって、中日クラウンズは2010年にギネス記録の58を叩き出し、6差からの大逆転優勝を演じているゲンのいい大会。この日も首位の星野から6打差、5アンダーからのスタートとあって、逆転をあきらめるはずもなかった。
しかもスタート前の1番ティーイングエリアでは、前日4番のパー3で達成したホールインワンに急遽30万円が贈られることになり、異例の表彰式が行われる一幕も。
石川は昨年の3日目、7番(181ヤード)でもホールインワンを達成しており、これが2年連続の快挙。同一大会での2年連続ホールインワンは、記録の残る1985年以降では安田春雄と尾崎直道に次ぎ3人目で、石川の場合は昨年の達成時の使用クラブも8番アイアンだったという。
主催者側の粋な計らいを受け笑顔で賞金を受け取った後、スタートした石川は1番バーディ、2番イーグルと“猛ダッシュ”。
しかしその後は4番、10番とボギーもあり、逃げる岩田との差を詰められない。14番のバーディでようやく通算10アンダー。待望の二けたアンダーに乗せたが、この時岩田は16アンダーまでスコアを伸ばしていた。
結局4位に終わり、「まさか16まで行くとは」と石川も最後は岩田の異次元の強さを認めるしかなかった。
最終組の三つ巴対決はベテラン岩田の圧勝
先週の『ISPS HANDA欧州・日本どっちが勝つかトーナメント』で日本人最高の4位に入っている岩田は、最終日もスタート直後の1、2番で連続バーディを奪うロケットスタート。前半を31で折り返すと、11、12の連続バーディで通算16アンダー。後続グループの追撃意欲を、圧倒的なスコアでしぼませた。
「自分もしっかりやろう、としていましたが岩田さんも完璧なゴルフをしていた」と、肩を落としたのは星野。4打差の3位からスタートした蟬川も1番から4連続バーディを奪いスコアを伸ばしたが、「これだけいいゴルフをしても差を詰められない。岩田さんは凄かった」と、岩田の試合巧者ぶりに脱帽するしかなかった。
一方で寡黙な男として知られる岩田は、一昨年の優勝時にガッツポーズが小さかったことを、ずっと引きずってきていた。
そこで今度こそはと、両腕を突き上げて喜びを表現。しかし自分の姿をスコア提出所でその映像をたまたま見た時、襲ってきたのは新たな後悔の念。不本意な様子で「ダサかった・・・」とつぶやいていた。