大型ニューヒロイン誕生とつかめなかった双子姉妹連続優勝【国内女子第8戦】

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(左から)神谷そらと岩井千怜 写真:Getty Images

◆国内女子プロツアー<フジサンケイレディスクラシック 4月21日~4月23日 川奈ホテルゴルフコース富士コース(静岡県)  / 6457ヤード・パー71>

昨年のプロテストトップ合格の飛ばし屋、神谷そらが混戦を制して初優勝を飾った。神谷は1イーグル、2バーディー、6ボギーと苦しみながらも、要所で光るプレーを見せて、勝利をつかみ取った。追撃態勢のライバルたちが大詰めで脱落する中、粘り強さが光る勝利は、今後の大きな可能性を思わせるものだった。

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名物パー3の17番で手繰り寄せた初優勝

ルーキーでのツアー初優勝を飾った神谷そら 写真:Getty Images

 持ち前の球の高さで、名物パー3の17番で左3メートルからの難しいラインを入れてバーディー奪取。18番はボギーを叩いたが、1打差で神谷そらが初優勝を飾った。

 通算6アンダー単独首位でスタートした神谷を、岩井千怜、安田祐香、荒川怜郁らが猛追。神谷のゴルフは、イーグルでギャラリーを沸かせるシーンもあったがボギーも叩くという内容で、一時は首位から後退したが、大詰めの17番でのバーディーで首位の座を奪い返す。難しい17番、18番でライバルたちが脱落し、神谷の初優勝が決まった。

 18番ではグリーンをオーバーしたが、この時まで2打のリードを知らず、リーダーボードを見て初めて知ったと言う神谷。グリーンの奥から入れに行った3打目がショート。パーパットも入らず、70センチのボギーパットが残った。

 70センチのパットを前に、「体と手が震えてて、それがわかるくらいだったので、それを見て緊張していると気がつきました」と振り返る1打を沈めて優勝を決め、照れくさそうにキャップのツバに手を当てて笑った。

20歳の誕生日を迎えたばかりのニューヒロイン

ツアー2位の飛距離を誇るドライバーが武器 写真:Getty Images

 3番でボギーが先行したが、続くパー5の4番で残り260ヤードを3Wで打って3メートルに2オン。これを沈めてイーグル奪取。

 慣れない高麗グリーンに戸惑いながらも、ツアー2位(平均256.23ヤード)の飛距離と、高い球を武器に神谷が自分のゴルフを繰り広げ、勝利を手にした。

 『そら』という名前は、母がつけてくれた。

 由来を尋ねられても、「上の空のようになんか大きく、広い心を持ったみたいな…ちょっとよくわかんないです」と笑うにとどまったが、その名の通りのスケールの大きなゴルフは、ギャラリーの心をつかんだ。

 岐阜県土岐市で2003年に生まれた。2度目の受験となった昨年のプロテストは、難コースの上に、風がコンディションをタフにした大洗ゴルフ俱楽部(茨城県)でトップ合格してプロになった。

 QTランキング7位で臨んだ今季序盤戦は、これまで7試合で4回予選落ち。8試合目となる今大会3日前の4月28日が、20歳の誕生日だった。

 「練習ラウンドしてました」と、プロらしい記念日を過ごして臨んだ大会で、見事につかんだ初優勝。

 これまで「あんまり自分自身に期待しないようしておこう」という気持ちでプレーしていたのは、アマチュア時代に出場した試合も含めて、プロの試合で実力不足を実感していたからだ。

 そんな中でも、周囲の期待やトップ合格で手応えを感じ、自分への期待が高まってきた矢先の初優勝だった。

 将来的には、海外進出の思いを抱いている。

 「ジュニアの時に何回か海外に行ったときにできた友達だったりライバルは、アメリカの方で成績を残してたりするので、また会いたいなっていう風には思ってるのでそこを目指して頑張りたいと思います」

 大型の新星が花開いた。

岩井千怜は双子での連続優勝ならず

2位タイの岩井千怜は双子での連続優勝に1打及ばず 写真:Getty Images

 ツインズでの連続優勝の快挙は、あと一歩のところでお預けとなった。

 前週の『KTT杯バンテリンレディス』では、双子の姉、明愛が初優勝。姉妹揃ってツアー優勝という史上初の記録を達成した。もちろん、2週連続姉妹で優勝となれば、さらに大きな記録となる。ましてや2人は双子。周囲の期待は高まった。

 大会初日は姉妹同じ組でプレーし、「楽しかったです」と声を揃えた。妹の千怜は、その後も順調にプレーして、最終日は首位の神谷に3打差3位タイから逆転優勝を狙った。単独首位でスタートした神谷のゴルフが今一つ安定せず、試合は大混戦となった。

 バックナインに入ってからは、安田祐香が試合を引っ張っていたが、17番のボギーで通算4アンダーに後退。16番バーディーの千怜が5アンダーで単独首位に立つ。姉妹連続優勝の可能性が高まった。

 だが、17番でボギー。18番でグリーン手前から1メートルに寄せたが、これを外してボギー。優勝には1打及ばなかった。

 「簡単には勝てないということですね」とポツリと口にした千怜。18番のパーパットでは、かなり緊張したことを口にした。

 それでも、「今日は神谷さんの日だったと思いますし、次もチャンスがあるので、そこに向けて頑張れという意味なのかなと思います」と、気持ちを切り替えた。

 13位タイ、2位タイ、14位タイ、そして今大会が2位タイと好調が続いているだけに、「よい流れで来ているので、このまま流れに乗っていきたいと思います」と、ツアー3勝目に照準を合わせた。

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