◆国内女子プロツアー<ヤマハレディースオープン葛城 3月30日~4月2日 葛城ゴルフ倶楽部 山名コース(静岡県) / 6480ヤード・パー72>
アナザーシンデレラストーリーが紡がれるほど、甘い世界ではなかった。JLPGAツアー『ヤマハレディースオープン葛城』最終日に、鶴岡果恋が初優勝をかけて単独首位で臨んだが、スコアを落として通算3オーバー13位タイに終わった。主催者推薦枠からの優勝という下剋上は、前週の『アクサレディスゴルフトーナメント in MIYAZAKI』で山内日菜子が成し遂げたばかり。だが、これに続くべく挑んだ鶴岡は難易度を上げたコースの前に敗れ去り、次のチャンスに望みを託す。通算9アンダーでプレーオフの末、穴井詩がささきしょうこを下して通算4勝目を挙げている。
「技術をもっと上げて行かないと勝てないんだな」
「悔しいですけど、今の自分の実力なので、また近い試合でリベンジしたいと思います」
>>勝利のカギは“もぐもぐショット”山内日菜子がプロ8年目でつかんだ初優勝までの苦難
ささきしょうこ、吉田優利との最終組で、鶴岡は、意外にも落ち着いてプレーすることができた。「緊張していたのはスタートの1番だけ」と、キャディを務める重田栄作コーチと優勝争いに挑んだ。
だからと言って、いいスコアが出るとは限らない。1番はボギー発進となったが、2番、3番まではスコアカード通り。4番をボギーとした後、パー5の5番に落とし穴が待っていた。
「グリーンが日に日に硬くなっていて、初日と最終日のグリーンのギャップに全然対応できなかった」と、3打目がグリーンに弾かれて5オン2パットのダブルボギー。本性をむき出しにした難コース葛城の洗礼を受けた。
結局、そのコンディションに対応できず、さらに3つのボギーを重ねて7オーバー79。通算3アンダーで13位タイに終わった。「もっとコースマネジメントと、グリーンに慣れること。技術をもっと上げて行かないと勝てないんだなと感じた」と、この悔しさを糧にすることを誓った。
主催者推薦から狙った優勝
2週連続のシンデレラ誕生か!?そんな空気の中で、迎えた最終日だった。
QTランキング65位の鶴岡は、主催者推薦で今大会に出場している。先週の『アクサレディスゴルフトーナメント in MIYAZAKI』で、181位と鶴岡以上に低いQTのランキングの山内日菜子が、同様に主催者推薦で出場して優勝しているからだ。
シード選手や、QT上位の選手と違い、鶴岡や山内のような選手は、出場できる試合が限られる。続けて試合に出るわけではないから、調整はしやすいが、試合カンという点では難が残る。少ないチャンスを生かすためには、意気込みが空回りしないことも大切だ。毎週“本番“で肌がひりつく勝負をしている面々相手の勝負は、なかなか難しい。
それでも、不可能ではないことを山内が証明したばかりだった。その分、鶴岡への期待は、自他ともに大きかった。
「先週はテレビとかで見ていたので良い刺激を与えていただいて、もしかしたら私も行けるかもしれないという思いがあったので、優勝したいなという気持ち高まりました」。そう口にして臨んだ最終日だったが、残念ながら手が届かなかった。
シンデレラ山内日菜子は9位と大健闘!!
一方、鶴岡に刺激を与えた山内は、優勝ですべての試合に出場できるようになり、早速、今大会に挑んだ。
思いがけない勝利の直後は、想像以上の祝福に驚かされた。「予想を超える数の連絡がありましたが、その日のうちに返したかったので1日かけて必死に返しました」と、うれしい悲鳴を上げながら、急遽、乗り込んだ。
「いまだに浮ついている部分はあると思う。まずは予選通過をクリアして、土日の試合を思う存分楽しみたいなという気持ちです」と臨んだが、3位タイと上位で予選を通過。苦手だったパー5のマネジメントという課題を乗り越えたことで、難コースで最後まで自分のプレーをやり切った。
風が吹き、日に日に硬くなるグリーンをものともせず、最終日も2バーディー、1ボギー。通算5アンダー9位と大健闘。優勝がフロックではなかったことを証明した。
トップ10入りに、「メチャクチャうれしいです。まだまだたくさん試合があるのでこれからも楽しみです」と満面の笑み。出場機会を思う存分、楽しんでいるだけに、まだまだいいプレーを見せてくれそうだ。