2021年8月に開催された国内男子ツアー『Sansan KBCオーガスタゴルフトーナメント』の開幕前のプロアマ戦で、選手の短パン着用が日本で初めて認められたことを各メディアが大々的に取り上げていましたが、今回は「短パンOK」になったキッカケに関するお話です。
短パンの解禁はプロたちの長年の願い
日本史上初の「プロアマ戦、短パン解禁」に一早くリアクションを見せ、「賛否両論あっていい。変わっていくことは不自然なことではない」と語ったのは石川遼選手でした。
とはいえ、この大会のプロアマでの短パン着用は、石川選手自身がいきなりチャレンジしたわけではなく、先進的な考えの持ち主であるこの大会側の試みでした。
しかし、言い出しっぺが誰であれ、「いい」と思えば、即採用し、即実行するあたりは、いかにも石川選手らしいなと感心させられました。
男子プロゴルフ界における「短パン問題」には、長い不動の歴史がありました。
昔ながらのドレスコードを重んじるゴルフの世界では、アメリカの男子ツアーだけは1999年からキャディのみ「試合中でも短パンOK」になりましたが、「選手はあくまでも長いパンツ」が常識とされてきました。
タイガーの発言の影響力の大きさを実感
そこに動きが出たのは、ここ数年のことです。
地球温暖化による世界的な異常気象から選手たちの健康を守るために、ヨーロッパツアーでは2016年に練習日の短パンがOKとなり、メジャー大会の1つである全米プロでも2017年から練習日の短パンが認められ、大きな話題になりました。
アメリカツアーでも2019年2月から練習日もプロアマ戦でも選手の短パンが解禁となり、発表直後のメキシコ選手権の練習日には、ローリー・マキロイらがちょっぴり照れながら短パン姿で登場しました。
そうやって欧米ゴルフ界が「短パンNG」から「短パンOK」へと変化していった背景には、王者タイガー・ウッズの後押しがありました。2018年終盤に「短パン、いいと思う」とウッズが語ったからこそ、アメリカツアーは翌年から短パン着用を認めたのです。
文/舩越園子(ゴルフジャーナリスト)