◆国内女子プロツアー<第36回ダイキンオーキッドレディスゴルフトーナメント 3月2日~3月5日 琉球ゴルフ倶楽部(沖縄県) 6560ヤード・パー72>
申ジエのツアー通算27勝目で幕を下ろしたダイキンオーキッド。今年も新たな顔ぶれで始まった女子ツアーを彩る若手たちは、明暗が分かれた。新型コロナウイルス感染で出場すらかなわなかった川崎春花、予選落ちした面々…。これに対してしっかり上位に入った岩井明愛ら、開幕戦の泣き笑いを追った。
好調の岩井明愛ら若手の戦い
双子の岩井姉妹は、天国と地獄を見た。
>>ベテランの力が光った開幕戦!若手の勢いに待ったをかける申ジエの復活劇
昨年、2週連続優勝を飾った妹の千怜が、1アンダー8位タイの滑り出しから、2日目に79を叩いて予選落ち。対照的に、姉の明愛は、初日5オーバー88位タイと出遅れながら、2日目の66で盛り返して予選を通過。最後までしぶとい戦いを続け、優勝した申には6打差ながら6位タイと幸先のいいスタートを切った。
ルーキーで最も結果がよかったのは、仁井優花。最終日に3アンダーで順位を上げて、9位タイに入り、2戦目以降にも期待が集まる。
2021年合格組の3人も、揃って14位タイとまずまずの開幕戦となった。昨年、メルセデスランキング37位の後藤未有、同44位の阿部未悠は、いずれもシード選手として臨む最初のシーズンを好調に滑り出した。
上野菜々子は、QTから前半戦出場権を勝ち取ってのシーズン入り。それだけに、早い時期に結果を出してリランキングに備えなければならない事情がある。初戦から悪くないスタートなだけに、この調子をキープしたいところだ。
元女王2人の明暗
昨年、その前年の女王経験者2人の開幕戦も、対照的な結果となった。
昨年終盤、圧倒的な強さで年間女王となった山下美夢有は、大会前から漏らしていたショットの不安が出てしまい、通算イーブンパーで24位タイ。
「もったいないミスが結構多くて、修正できずに来てしまった。決勝ラウンドはいいプレーがしたかったのに」と唇をかんだ。
女王になると、オフシーズンが多忙になるのは宿命だが、練習量が少ないこともなく臨めた開幕戦で、思うような結果が出せずに終わった。それでも、いつものマイペースで2年連続女王タイトルに突き進む気持ちでいる。
2020-2021の女王、稲見萌寧は、2つのイーグルを奪った2日目の66が効いて、通算7アンダー。2位タイで大会を終えている。
オフシーズンに、スイングを「一から変えた」という稲見。「始動からトップ、切り返し、身体、クラブの動きとか…」と、本当に大改造してシーズンを迎えた。
理由は、昨年感じた違和感と腰痛。目指しているのは「ストレートに近いフェード」と、安定して上位で戦うために、思い切った行動に出た。
2位タイにも「いっぱいいっぱいでしたね」と苦笑したが、目標のトップ10に入ったことでほっと一息。
「正直、東京オリンピックでメダル獲得できて、もしかして銀メダル取れて終わるのがカッコいいと思っていたこともあるんですけど、パリオリンピック、海外でのオリンピックも経験したいと思っています。そのために今年から大事だと思っている。いろいろ挑戦して世界ランキングを上げていきたい」と、これまでの”国内志向“から、目標を高く掲げ直しており、楽しみな1年になりそうだ。
欠場の川崎に加え、尾関、佐藤、竹田、神谷、櫻井ら期待の新人はいずれも予選落ち
残念な開幕戦となった若手も少なくない。
予選から出場した昨年の日本女子プロ選手権で優勝し、2勝したシンデレラガール川崎春花が新型コロナウイルス感染で欠場を余儀なくされた。
大事な2年目。自他ともに期待の集まるシーズンなだけに、悔しい思いをしているが、大事なのはここから。復帰後にどんな戦いができるのか。
住友生命Vitalityレディス東海クラシックで初優勝し、意欲満々で2年目に臨んだ尾関彩美悠も予選落ち。初優勝を狙う佐藤心結、竹田麗央、プロテストトップ合格の神谷そら、ステップアップツアー5勝で前半戦出場の権利を手にした櫻井心那も揃って予選落ち。ツアーの厳しさを痛感する開幕戦となった。
11月末まで続く長いシーズンだが、QTから出場している選手たちや、ステップアップから出場権を得た櫻井などは、リランキングまでに結果を出してポイントを稼がなければ後がない。それだけに、2戦目以降も必死のサバイバルが続く。