◆海外女子プロツアー<CMEグループツアーチャンピオンシップ 11月17日~20日 ティブロンGC ゴールドC(米フロリダ州) 6556ヤード・パー72>
CMEグループツアーチャンピオンシップで、米女子ツアーが今季の全日程を終えた。シーズンを通して戦った畑岡奈紗、渋野日向子、笹生優花、古江彩佳の4人が過ごした1年間を改めて振り返り、それぞれの思いに迫る。
粘り強い戦いで結果を出した古江彩佳
2022年、もっとも成長を見せ、シーズンを通して安定していたのは古江彩佳だろう。最終戦も、終わってみれば25位タイと日本人最上位。常に粘り強くプレーしていた1年を、こう振り返った。
「予選も多く通過できたし、優勝もできました。ルーキーシーズンとしてはいい1年だったと思います。いろんな芝の上でたくさんのことを経験できた充実した1年でした」。
2019年、19歳でアマチュアとして富士通レディースに優勝し、そのままプロ転向。プロ最初のシーズンは、コロナ禍で2020-2021年が一緒になる特別なものだったが、ここで賞金女王争いをした後、米ツアーQシリーズを経て米ツアーに乗り込んだ。その1年目だった。
体が大きいわけでもなく、飛距離も特に出るわけではない。それでも、バンク・オブ・ホープLPGAマッチプレーで2位となり、欧米の強豪が集まった7月のトラストゴルフ女子スコティッシュオープンでは初優勝を飾っている。
さらにすごいのは、27試合に出場して予選落ちが全米女子オープン、全米女子プロなど3試合しかないことだ。コツコツと最終日までプレーして、しっかりと賞金とポイントを稼いでいる。
4試合しか出場していない日本でも、しっかり富士通レディースで優勝。集中力の高さも見せている。米ツアーに慣れた2年目の活躍が楽しみだ。
「悪いとしか言いようがない1年」と渋野日向子
渋野日向子は、率直に苦しかったシーズンをこう、表現した。
「悪いとしか言いようがない1年だったので残念ですね」。
序盤にロッテ選手権で2位となり、メジャー初戦のシェブロン選手権は4位タイ。2019年に優勝した全英女子オープンでも優勝争いの末、プレーオフに1打及ばず3位に入っている。
だが、どうにもならない試合も多かった。 全英の前には、全米女子オープンを始めとするメジャー3試合を含む4試合連続で予選落ち。ショットは安定せず、パットも入らないという状況のラウンドが少なくなく、精神的にも辛い思いを味わった。
それでも、2023年の出場権はしっかりキープ。「来年も1年間戦えるということで、もう少し頑張らないと。1年間がすごく早く感じるので、1日1日を大切にしないとと思います」と、自らに言い聞かせた。
悔しい締めくくりとなった畑岡奈紗と「楽しめました」という笹生優花
畑岡奈紗も、悔しい思いを抱えてシーズンを締めくくることになった。
最終戦最終日を首位に7打差7位タイでスタートしながら、トリプルボギー発進でまさかの『80』。最後のラウンドが大叩きになり、41位タイという結果に終わったからだ。
昨年は、賞金女王をかけて優勝争いの末、2位になった最終戦だけに、リベンジの気持ちが強かったが、「自分の悪いところが出てしまったかな。望むような結果にならなかった」と唇をかむ。
4月のDIOインプラントLAオープンでツアー通算6勝目を挙げたが、目標に掲げるメジャータイトルは今年も取れずじまい。全米女子プロゴルフ選手権5位タイ、全英女子オープン7位タイなど、メジャーでも上位に入っているが、もどかしい思いが募るシーズンとなった。
「最低1勝と言う最低限はクリアできました」と、何とかポジティブな言葉を探した畑岡。本人としては不本意かもしれないが、米ツアーも6年目となり、ツアーにどっしり腰を据えて次のシーズンに備える。
2021年全米女子オープン王者、笹生優花は、「勉強になることもあって楽しくできた1年でした」と明るい表情で最終戦を終えた。
60人しか出場できない試合で、3日を終えて最下位にいたが、最終日は2アンダーで回って59位タイでも、マイペースは変わらない。
今季は、開幕戦ヒルトングランド・バケーションズ・トーナメント・オブ・チャンピオンズで6位に入り、2戦目のゲインブリッジLPGA atボカラトンでも3位と幸先のいいスタートを切ったが、その後が今一つ。波のあるプレーが多かったが、状況を冷静に受け入れ、常にベストを尽くす姿勢を変えずにプレーを続けた。
ツアー第3位の飛距離(平均275.61ヤード)を武器に、来季もスケールの大きいゴルフを見せてくれそうだ。