◆国内女子プロツアー<スタンレーレディスホンダゴルフトーナメント 10月7日~10月9日 東名カントリークラブ(静岡県) 6570ヤード・パー72>
激戦の末、小祝さくらが優勝したスタンレーレディスホンダゴルフトーナメント。その優勝争いの一角に顔を出した大里桃子、最終ホールのイーグルでシード獲得に自信を深めた脇元華のプレーぶりも光った。
一方、山下美夢有は14試合連続トップ10入りを逃したが、記録よりも自分のゴルフに対する姿勢を貫き、シーズン終盤に向かう。
「チャンスはいっぱいあった」猛チャージでも不満の大里桃子
優勝争いをヒートアップさせたのは、間違いなく大里の猛攻だった。
6打ビハインドの通算4アンダー20位タイでスタートしたのは、最終組の1時間20分前のこと。7番からの4連続を含む6バーディーを奪って、通算10アンダーで早々にホールアウト。後ろで優勝争いを繰り広げる面々を強く刺激した。
最終的には5位で大会を終えたが、本人には不満が残る。「バーディーチャンスについたところがいっぱいあったんですけど」という言葉通り、もっといいスコアが出てもおかしくなかったからだろう。
この日だけではない。第1ラウンド、第2ラウンドともに何度もバーディーチャンスが入らず、フラストレーションがたまっていた。
だが、裏を返せば、それほどショットの調子がいいということ。光るプレーは見せながら、優勝には手が届かないままシーズンを終えないために、「いい流れを作って来週につなげていけたらいいなと思います」と締めくくった。
連続トップ10入りが途切れてもマイペースの山下美夢有
山下の連続トップ10入りが13試合で途切れた。
6月のサントリーレディス優勝以来、日本で出場したすべての試合でトップ10入り。安定した成績で、西郷真央を抜いてメルセデスランキング首位に立っている。
だが、今大会は2日目を終えて通算1アンダー45位タイ。ギリギリでの予選通過で最終日を迎えた。成績順のスタートは、10番からの“裏街道”の最終組。
追い上げをかけてのプレーは、2つのボギーが先行する。13番、14番、16番のバーディーで取り返して波に乗るかに見えたが、折り返してからは3番のバーディー1つだけ。結局、通算3アンダーで28位タイに終わり、トップ10入りはかなわなかった。
だが、本人はさばさばしたもの。「全然意識はしてなかったんですけど。ショット自体はそんなに悪くないんで、後はマネージメントかなと思います。特に記録に関しては考えてなかったので、今後も自分のゴルフをしていけたらと思っています」と、持ち前のマイペースぶりをのぞかせた。
記録よりも自分のゴルフ。「最近、自分のゴルフができていない感じがするので、しっかり見直して、また来週からしっかりやっていきたい」と、シーズン終盤への意気込みを見せた。
意識しないまま向かっていく先は、メルセデスランキングトップの年間女王。山下の強さを垣間見た気がする。
イーグルフィニッシュの脇元華は“裏シード”獲得に弾み
鮮やかなイーグルに、脇元が歓声を上げた。
通算7アンダーで迎えた最終18番パー5。ピンまで85ヤード、きついアップヒルから52度のウエッジで放った第3打は、ピンの真横にキャリーした。1度、1メートルほど上に転がったが、ここから傾斜を戻ってきてそのままカップイン。本人からは見えなかったが、ギャラリーの歓声を聞いて叫びながら小躍りした。
「ピンハイに打って、戻して寄っていく計算で打ったら、まさか入ってくれたので良かったです」と、最高の形でのフィニッシュ。これで通算9アンダー、6位に食い込んだ。
今季は、QTランキング79位でシーズンに入り、リランキング34位に浮上。レギュラー、ステップアップの両ツアーを掛け持ちしてきた。
メルセデスランキングは67位と、レギュラーツアーでのシード獲得まであと一息だが、このあと出場できるのはNOBUTA GROUPマスターズGCレディース1試合だけという状況だ。
そこで狙っているのは、ステップアップツアー賞金ランキング2位以内の“裏シード”獲得だ。5試合で2勝して、現在のランキングは6位。「計算したら最低でも2勝は必要になって来るので、あと4試合に出場します」と、逆転での“裏シード”獲得に燃えている。
そのためにも自信を深めたイーグルフィニッシュだった。