日本のトーナメントにも何度か出場したことがあるバッバ・ワトソン。爆発的な飛距離が魅力な彼ですが、最近はやや低迷気味。今回は復活を祈る意味を込めて、彼にまつわるお話をしたいと思います。
東日本大震災の際、すぐに行動を起こしてくれたバッバ・ワトソン
マスターズ2勝、PGAツアー通算12勝の実績を誇りながら、最近は成績低迷が続いていた44歳のアメリカ人選手、バッバ・ワトソンが、2021年のアメリカツアーのトラベラーズ選手権で優勝争いをしている姿を見て、私は彼の復活優勝を祈っていました。
ワトソンはジョージア大学の出身です。かつてアメリカツアーで戦っていた日本の今田竜二も、同じジョージア大学の出身で、ワトソンとはゴルフ部のチームメイトでした。
2011年に東日本大震災が起こったとき、今田選手が「母国を助けてください」と英語で手描きしたメッセージをロッカールームに貼ってよびかけたとき、いの一番に「はい。これをキミの母国のために役立ててくれ」と言って、5万ドルのチェックを今田選手に差し出してくれたのが、ワトソンでした。
そんな心優しいワトソンが、私はそのときから大好きになり、いい人には、いいことがたくさんあるはずだと信じながら見守っていました。
きっとまた勝ってくれるはず!
最近のワトソンは、心身ともにやや不調で、ゴルフも不調だったため、大丈夫だろうかと周囲からも心配されていたのです。
でも、この大会では3年ぶりの復活優勝にあと一歩というところまで迫り、今回は勝てるだろう、勝ってほしいと祈りながら見守りました。しかし、彼は14番の一打のミスからガラガラと崩れ落ちていきました。
崩れたワトソンに代わって優勝争いを披露し、史上2番目に長い8ホールものプレーオフを制して勝利したのが、ジョージア大学のワトソンの後輩にあたるハリス・イングリッシュだったことは不思議な偶然でしたが、ワトソンが敗北で傷ついた心を癒し、復活してくれる日を待っていたいと思います。
文/舩越園子(ゴルフジャーナリスト)