◆国内女子プロツアー<KKT杯バンテリンレディス 4月15日~17日 熊本空港カントリークラブ (熊本県) 6499ヤード・パー72>
“黄金世代”の植竹希望が4人によるプレーオフを制してツアー初優勝を飾った。“黄金世代”としては10人目の優勝で、「畑岡選手や渋野選手に早く追いつきたい」と語った。
植竹希望がJLPGAツアー史上最長のプレーオフを制す
女子ツアー屈伸の“スインガー”とも呼ばれる植竹希望が、悲願の初優勝を果たした。
大混戦となった最終日は、通算8アンダーで並んだ植竹希望、吉田優利、西村優菜、小倉彩愛の4人によるプレーオフに勝負はゆだねられた。
まず1ホール目で西村優菜、2ホール目で小倉彩愛が脱落すると、ツアー通算2勝の後輩でもある吉田と植竹の一騎打ちに。
3、4、5ホール目でも決着がつかず、6ホール目に突入するころには、すでに2時間が経過しようとしていた。
6ホール目。植竹は第2打をグリーン右手前のバンカーへ入れたが、落ち着いて第3打をピン右2メートルに寄せた。最後はきっちりとバーディー。吉田のパーで、植竹の初優勝が決まった。
プレーオフが2時間に及ぶ激闘はツアー史上最長で、「今日は一日長かった」と振り返ったが、やはり初優勝の喜びが勝っていただろう。涙を流しながらも笑顔は絶えなかった。
ダブルワークで支えてくれた母への恩返しの優勝
彼女が涙を流していたのには理由がある。
「(最後のパットが)入った瞬間は最高に気持ち良かったです。最初に母親の方を見てしまいました。たぶん泣いてくれていたと思います」
植竹の両親は高2の時に離婚している。当時はゴルフができるような経済状況でなかったことも会見で明かしていた。
「両親が離婚してからゴルフができなくなるくらいの経済状況だったので、ダブルワークになりながらも母は『好きなことをやりなさい』とずっと応援してくれました。たくさんケンカしたこともあるけれど、一番尊敬する人です」
好きなことを続けさせてくれる母に恩返しするためにも、プロゴルファーになったら優勝して恩返しすると心に強く決めていた。
「練習する環境はたくさんあったので、あとは自分次第」。高校時代は週4~5日をゴルフ場でアルバイトをしながら練習をこなし、とにかく自分のやるべきことに集中した。
優勝パットは努力が報われた瞬間だったに違いない。
ちなみに1998年度生まれの“黄金世代”としては10人目の優勝となった。
「(活躍する選手を見て)悔しい気持ちは強かったですし、刺激にもなっていました。今は国内で初優勝したばかり。畑岡(奈紗)選手や渋野(日向子)選手など海外でも活躍している人もいるので、早くそういう人たちに追いつきたいという気持ちは強いです」
全身を使ったしなやかなスイングは女子選手とは思えない豪快さがあり、見る者を惹きつける。さらに技術に磨きがかかれば、ツアー2勝目もそう遠くないはずだ。