◆国内女子プロツアー<リゾートトラストレディス 5月26日~5月29日 メイプルポイントゴルフクラブ(山梨県) 6580ヤード・パー72>
強行日程を押して国内ツアー出場を決断した小祝さくらが激戦を制した。リゾートトラストレディスは、翌週に全米女子オープン出場を控えた選手の姿がほとんどない中、小祝だけが出場を決断。通算17アンダーでシーズン初優勝を飾り、メジャーに弾みをつけた。
自分のゴルフを貫いてシーズン初優勝
マイペースを貫き、小祝が勝利を手にした。
2打差単独首位で迎えた最終日だったが、同じ最終組でプレーするサイペイイン(台湾)が猛追。なかなかスコアを伸ばせない小祝に3度追いつく展開の中でも、自分のゴルフを続けた。
「想像していたよりもすぐに追いつかれた結果になってしまって。今日は厳しいんじゃないかなと一瞬思った部分もありました」と言いながらも、焦らなかった。
通算17アンダーで並んだまま臨んだ11番はともにボギー。通算16アンダーで迎えた13番が、勝負を決めた。残り140ヤードを8番アイアンで打った第2打は、7メートルに乗せた。「ちょっと強めに入っちゃったんですけど、それが運良く入ってくれた」というバーディーを奪って、重苦しいムードのバックナインに風穴を開けた。
その後も守りに入ることはなくパーを重ねた小祝に対し、サイも忍耐強くプレーしたがバーディーが取れず、最終18番はボギー。
小祝がサイに2打差をつける通算17アンダーで優勝した。
9か月ぶりの優勝も「意外と長くなかった」
2021年前半はツアーを引っ張り、8月までに4勝。ロングシーズンとなった2020年と合わせてシーズン5勝を挙げたが、後半、失速。これが9か月ぶりの優勝となった。だが「意外と長くなかったです」というのには理由がある。「コーチを変えたり、スイングを変えたりとやっていたので、そううまくいかないだろうなとやってて、逆に頑張って前半戦で勝てたほうだなと思います」と、周囲や結果に惑わされることなく、計画的にプレーを続けていることを感じさせる。
試行錯誤をしたのは、「去年ドローボールが後半戦結構まがっていたことがあって、どんどん試行錯誤してたんですけど、このままだったらまずいなって感じで」という危機感からだ。長い間、見てもらっていた辻村明志コーチから離れ、新たに探した吉田直樹コーチとともに、フェードボールに取り組んだ。
長い目で見てもマイペース。それが貫けるのが小祝の強さだ。
シーズンに入ってから出場を決めた全米女子オープン
次週にメジャー、全米女子オープン(6月2日~6日、ノースカロライナ州パインニードルズロッジ&GC)に出場する。出場するほとんどの日本勢は、移動と準備のためこの大会を休んだが、142試合連続出場の記録を持つ小祝は、試合に出て調整する道を選んだ。
小祝は全米女子オープンに元々出場するつもりはなくて、ワクチンも打っていなかった。出場を決めたのはシーズンに入ってから。「ちょっと挑戦してみたいな、っていうのと、新しいコーチが英語を喋れるコーチだったので、そういう心配も減るので行くのを決めました」と、気負わないながらも、前向きにステップアップしていることが伝わってくる。
同世代や、自分より若い世代の活躍も刺激になっている。「古江彩佳ちゃんだったりも年下なんですけど、海外で活躍してるのを見て、すごいなっていつも刺激になってます」と、同じ週、米女子ツアー、バンク・オブ・ホープLPGAマッチプレーで決勝にまで進む活躍を見せている古江の名を挙げた。
メジャーへの秘策は、「しっかり睡眠をとって明日の移動に備えたいと思います」と、やっぱり小祝はマイペース。このまま、メジャーの舞台も自分の空気に巻き込むことができれば、チャンスも見えてくる。