◆海外女子プロツアー<バンク・オブ・ホープLPGAマッチプレー 5月25日~29日 シャドウクリークGC(米ネバダ州) 6804ヤード・パー72>
古江彩佳が全米女子オープン直前に2位となり、自信を深めた。米女子ツアーでただ一つのマッチプレー、バンク・オブ・ホープLPGAマッチプレーで、古江はしぶとい戦いを続けて決勝に進出。2009年全米女子オープン優勝のチ・ウンヒ(韓)に惜しくも敗れたものの2位となり、LPGAツアーでの初優勝が近いことを思わせた。
粘り強く6マッチを勝ち抜き決勝へ
27日に22歳の誕生日を迎えた古江が、7マッチの激闘を戦い抜いた。
全米女子オープン前週のマッチプレーに日本勢として唯一、出場した古江は、1組4人が総当たりでぶつかり各組1位の16人だけが残れる『ラウンド・オブ16』に進出。準々決勝ではジュディ・エワート・シャドフ(英)に4ダウンまでリードを許しながら、最終ホールでオールスクエアに持ち込み。22ホールを戦って逆転勝ちしてみせた。
29日午前中の準決勝ではリリア・ヴ(米)を2アンド1で下して、午後にはチ・ウンヒと18ホールの決勝にコマを進めた。
前半は一進一退の戦いも、9番のイーグルで流れはチに
タフなセッティングに強風が吹く最終日。それでも、古江はメジャー優勝経験のあるチを相手に踏ん張った。
ルーキーシーズンの今季、9試合に出場してトップ10入りはないものの、予選落ちもない。しぶとく戦い続ける古江らしく、ポーカーフェイスで決勝を戦った。
3番ボギーで1ダウンとしたが、4番ではチがボギーでオールスクエア。7番でもチがボギーを叩いて、パーの古江が1アップ。8番はチがバーディーで再び勝負は振出しに戻る。
互いに疲労困憊の必死の決勝。だが、チの1打がそのムードを吹き飛ばした。
9番パー5の第3打を直接カップにブチ込んで、イーグルを奪ったのだ。
残り92ヤードの会心の1打は、2年以上、勝利から遠ざかったメジャー王者をよみがえらせた。
続く10番で古江がボギーにして2ダウン。ここまでの戦いならここから盛り返した古江だったが、11番でこのマッチで唯一のバーディーを奪ってその気配を見せるのがやっと。さすがにそのパワーは残っていなかった。
2ダウンで迎えた16番でボギーを叩き、3アンド2でチに屈した。
疲労よりも自信を持ってメジャーへ
「本当にタフなコンディションでした。風が強い中、体だけでなく脳もすごく疲れました」。終了後、古江は、そう本音を漏らした。あと一歩のところで初優勝を逃した悔しさは隠しきれない。
その一方で、初めて2位となった自信ものぞかせる。4人1組が総当たりの”予選“を2勝1引き分けで勝ち上がり、その後も3戦を勝ち抜いて決勝まで進んだのだから当然だろう。
QTで出場資格を得て臨んでいる今季は、とにかく出られる試合に出場して結果を出すため、米ツアーに専念している。その成果が、今回の結果につながっているのは間違いない。
次週がメジャー第2戦の全米女子オープンということもあり、他の日本勢は1人も出場しなかった今大会にも、迷わず出場。決勝まで残った。疲労と引き換えにしても、メジャーに挑む武器として、この自信は大きい。
昨年、笹生優花がプレーオフで畑岡奈紗を下して優勝したビッグトーナメントを、米ツアーでの経験を重ねた古江はどう戦うのか。マッチプレー2位の実績と、持ち前のアプローチのうまさ、粘り強い戦いぶりがあれば、チャンスは見えてくるに違いない。