◆海外女子プロツアー<全米女子オープン 6月2日~5日 パインニードルズロッジ&GC(米ノースカロライナ州) 6638ヤード・パー71>
第77回全米女子オープンの最終ラウンドは、3打差の単独首位でスタートしたミンジー・リー(豪)が2位との差を4打に広げて優勝。ミナ・ハリガエ(米)の逆転はならなかった。日本勢は、通算3オーバー20位タイの小祝さくらを筆頭に、予選を通過した5人が奮闘。昨年プレーオフ負けのリベンジをかけた畑岡奈紗は、通算5オーバー28位タイに終わっている。
メジャー2勝目のミンジー・リー「子供の頃からの夢がかなった」
多くの選手が苦しむタフなセッティングできっちりフェアウェーをとらえ、グリーンに乗せる。リーのプレーには危なげがほとんどない。1番パー5で7メートルに2オンし、イーグル逃しのバーディー発進。2番では手前から8メートルのフックラインを沈めて連続バーディー。2位ハリガエとの差を6打に広げると、そのまま優勝への“一人旅”に突入した。
5番と7番をボギーとしてもあわてない。12番では左上1.5メートル、15番パー5では8メートルを2パットのバーディーで取り返し、大きなリードを保ったままクライマックスへと向かっていく。
16番パー3では7メートルから、18番では10メートルからいずれも3パットでボギーを打ったが、終わってみれば4バーディー、4ボギー。通算13アンダーで、ハリガエとの差を4つにして、ビッグタイトルを手にした。
プレー中は大ベテランのような落ち着きを見せていたが、ホールアウト後には26歳の素顔をあらわにした。「何と言っていいかわからない。今はまだ信じられない。すごく特別で誇らしいこと。子供の頃からの夢がかないました。やった!信じられない」と、頬を紅潮させた。
昨年のエビアンマスターズに続くメジャー2勝目。これで一気に米女子ツアーのポイント制ランキング、ロード・トゥ・CMEグローブシーズンでトップに躍り出た。
母国のスカラシップが成長をあと押し
オーストラリアのパース出身で、ミドルティーンだった2013年、2014年に豪州上司アマで連覇。母国のスーパースター、カリー・ウェブの名がついたユースプログラムにあるスカラシップ(奨学金)を受けて成長した。
全米女子オープン初出場は2014年。舞台は、ここ、パインニードルズからほど近いパインハーストリゾート&CC(No.2)だった。以来、毎年、出場権を獲得し、9回目の出場で頂点に立った。奇しくも大先輩、ウェブが2001年に大会連覇を果たしたのと同じコースでのことだった。
16歳だった2012年に全米ガールズジュニアでも優勝しているリーは、史上7人目の同大会と全米女子オープンを制した選手になる。これでミッキー・ライト(米)、ジョアン・カーナー(米)、ホリス・ステイシー(米)、エミー・オルコット(米)、インビー・パーク(韓)、アリヤ・ジュタヌガーン(タイ)というそうそうたるメンバーの仲間入りを果たしたとも言える。ウェブと同じ連覇をかけて挑む来年の大会は、ペブルビーチGL(カリフォルニア州)で行われる。
20位タイの小祝は今後のメジャー挑戦に意欲。畑岡は悔しい28位タイ
日本勢は15人が出場していたが、予選を通過して最終日まで残ったのは5人だけ。ディフェンディング・チャンピオンの笹生優花、2019年全英女子オープン優勝者である渋野日向子の2人も姿を消している。
最も健闘したのは、通算3オーバー20位タイとなった小祝さくらだ。タフなセッティングの中で4日間、72ホールダブルボギーを叩くことなくしっかりと戦い続けた。日本勢の中でただ一人、前週の日本ツアー、リゾートトラストレディスに出場して優勝した勢いのままに参戦。142試合連続出場を誇る”鉄人“らしい選択が、結果的に奏功した。
「上がってみたら意外に(順位が)下がっていなくてビックリ」と、メジャー経験の少なさをのぞかせつつも、満足感と悔しさが入り混じる。「またリベンジで全英とか全米オープンにチャレンジしていければって思ってます」と、貪欲なところも見せた。
昨年、笹生にプレーオフで負けて2位に終わった悔しさを晴らそうと臨んだ畑岡奈紗は、通算5オーバーの28位タイ。「望んでいた結果とは程遠くて残念です。これだけバーディー取れたのにオーバーパー」と、出入りの激しいゴルフに疲れた表情を見せた。
タフなセッティングとはいえ、さすがに4日間で5つダブルボギーを叩いては、いくらバーディーを取っても追いつかないことを実感し、今後のメジャーでの戦い方に生かすつもりでいる。
そのほか、日本ツアー今季5勝の西郷真央が通算8オーバー44位タイ、アマチュアの馬場咲希が通算9オーバー49位タイ、高木優奈が通算19オーバー69位タイで4日間の大会を終えた。