◆国内女子プロツアー<ニチレイレディス 6月17日~6月19日 袖ヶ浦カンツリークラブ新袖コース(千葉県) 6563ヤード・パー72>
ニチレイレディス最終日、西村優菜、佐藤心結と並ぶ通算11アンダーの首位タイでスタートした森田遥は、前半終了時点で西村に2打差の単独首位に立ったが、15番の2打目で痛恨のシャンク。大詰めでのミスで勢いを失った森田は西村に逆転され、2位に終わった。
流れを変えた15番のシャンク
1発のシャンクで、5年ぶりの優勝が手のひらからこぼれ落ちた。
2番、4番、7番、9番と、4つのバーディーを重ねて通算15アンダー。フロントナインを終えた時点では、同じ最終組で回る西村が、2打差で森田を追う展開。その流れがガラリと変わったのは、10番で西村がバーディーを奪い、1打差で迎えた15番パー4だった。
森田の2打目が、大きく右に飛び出して林に吸い込まれた。本人も、ギャラリーも息をのむ。シャンクだ。3打目はバンカーに入ってボギー。同じホールで、西村が7メートルのバーディーパットを沈めて逆転した。
1打を追う立場に変わった森田の勢いはピタリと止まり、逆に残り3ホールで2つのバーディーを重ねた西村が、通算17アンダーで優勝。森田は3打差の2位に甘んじた。
「シャンクです。今週3回目のシャンクです。ちょっと大げさにやり過ぎた感じです」。こんな言葉をサラリと口にできるのは、スイングを改造しているからだ。
「今取り組んでいることを、一生懸命やろうとし過ぎてという感じです」。理由がはっきりしているため、さほど深刻な様子はない。
「久しぶりに優勝争いみたいなことができて、すごく楽しかったです」と、笑顔すら見せた。
バーディ合戦になることは覚悟していた。「伸ばし合いのコースなので、自分がどんどんバーディを取っていかないといけないと思っていた。全然2打、3打(リードが)あってもひっくり返ることは想定していました」と、積極的に攻めていった結果の敗退。悔しさと、優勝争いができた喜びの割合を聞かれると、「間くらいですかね」と分析した。
最終的に、6バーディー、ノーボギーでプレーした西村をたたえることも忘れない。
「17番でまさかバーディーが来るとは。西村さんやっぱりうまかったです。最終日にノーボギーの6アンダーで回るのは簡単なことではないです」という言葉からは、グッドルーザーぶりがにじみ出ていた。
「ゴルフは人生の中の一つ」と考えられるようになり気持ちが楽に
国内女子ツアーにデビューした2016年に賞金ランキング25位となり、いきなりシードを獲得。翌年の2017年には、北海道meijiカップで初優勝を飾るなど、トップアマからそのままプロとして突っ走ってきた森田。しかし、賞金ランキング52位と、あと一歩のところでシード落ちした2019年頃には、自分を見失いかけていた。
2020年もQTで12位となり出場できる試合は多かったはずだが、突如、世界中に広がった新型コロナウイルスで序盤戦がすべて中止となった。
だがこの逆境をチャンスに変えた。1度、立ち止まって自分としっかり向き合ったのだ。コーチや両親に教えてもらうのではなく、自分で考えて行動し、経験を積むという基本的なことに立ち返り、悟りに近い境地に達した。ゴルフがすべての人生だったのが、「ゴルフは人生の中の1つ」と考えることで気持ちが楽になった。
結局この年は、出場した13試合中10試合で予選落ちだったが、そこから立ち直れたのは自分が見えているからだろう。
2021年は開幕戦から優勝争いを繰り広げ、優勝にこそ手が届かなかったが賞金ランキング40位でシード復活。今季につなげている。
「この位置でしか味わえない雰囲気とかシチュエーションがあるので、それはすごく自信になりました」と、敗戦にも胸を張る姿からは、ツアー2勝目が近いことが感じられた。