◆国内女子プロツアー<ニッポンハムレディスクラシック 7月7日~7月10日 桂ゴルフ倶楽部(北海道) 6763ヤード・パー72>
ニッポンハムレディスの最終日に通算16アンダー単独首位で臨んだ西村だったが、バックナインに入って、同じ最終組で3打差2位からスタートした野澤真央に並ばれる苦しい展開。これを持ち前の集中力とジャッジの正確さで切り抜けて、通算18アンダーでシーズン2勝目、ツアー通算6勝目を飾った。
スーパーバンカーショットで野澤をかわす
ショートサイドからのバンカーショットを、60センチにピタリと寄せた。
16、17番連続バーディーの野澤に1打差で迫られて迎えた最終18番パー4。カップ上7メートルに2オンしている野澤に対し、西村の第2打はグリーン右のバンカー。グリーンの右から4ヤードに切られたカップに対して、「カラーかグリーンにしっかりスピンをかけた球で打てば2メートル以内には止まるかな」と計算した。
アドレスで足を砂に入れた時の感触でのジャッジメントも正確だった。
「すごく柔らかくて重かったので、これはしっかり開いて怖がらずにバン!って打った方がいいなと思って、しっかりスピンだけはかけれるように、いっぱいフェースを開いて打ちました」。
パーは確実。バーディー必須の状況に追い込まれた野澤がバーディーパットを決められず、しっかりパーセーブした西村の勝利が決まった。
「勝ってからメジャーに行きたい」という目標を実現
シーズン2勝目、ツアー通算6勝目は、この先に待つ海外メジャー2試合に向けての大きな自信につながった。
複数回優勝と、自分の力で出場権を獲得しての海外メジャー出場が今季の目標だった。全米女子オープンですでにプレーしており、一応どちらの目標も達成した。だが、まだ残っているメジャー2試合への意気込みは大きい。エビアンチャンピオンシップ(7月21~24日、仏・エビアンリゾートGC)、全英女子オープン(8月4~7日、スコットランド・ミュアフィールド)に向けて、今週、渡欧を予定している。
「勝ってから(メジャーに)行きたいというのは自分の中でもあったので、すごくうれしいです」と、トレードマークの笑みが弾けた。
「(メジャーでは)予選を通過して4日間戦いたいという思いが強いです。いい経験ができるんですけど、それだけでは帰ってきたくないと思っているので、結果を求めてプレーしたいです」。
そう話すのは、予選落ちに終わった全米女子オープンの悔しさがあるからだ。
「迷って時間をかけてもいいことはないので」
決して楽な最終日ではなかった。3打差でスタートしたが、長いパットを何度も沈める野澤の存在に脅かされた。
10番のバーディーで差を4打に広げたが、12番、13番の連続ボギーで並ばれてしまった。続き14番パー5はバーディーを奪ったが、相手もバーディーと譲らない。
「なかなか流れも来ず、同組の選手が素晴らしいゴルフで圧倒されてしまい、ネガティブになりがちではありました」と、苦しかった気持ちを隠さない。
ターニングポイントとなったのは15番だった。第2打を池に入れた野澤が、ダブルボギーを叩いたすきに、8メートルの長いパットを決めてバーディー奪取。一気に3打差のリードに戻した。それでも、パッティングが好調な野澤相手に余裕を持つことはできなかった。
最終18番のピンチで、「迷って時間をかけてもいいことはないので」と決断した最高のバンカーショットで、勝利をがっちりとつかんだ。
シーズン前半をしっかりと勝利で締めくくり、2つの目標を達成して海外メジャーへと戦いの舞台を移す西村。そこで新たな経験を積んで帰国するシーズン後半戦が、ますます楽しみになってきた。