◆国内女子プロツアー<大東建託・いい部屋ネットレディス 7月21日~7月24日 滝のカントリークラブ(北海道) 6560ヤード・パー72>
冷静な試合運びで激戦を制し、菊地絵理香がツアー5勝目を飾った。大東建託・いい部屋ネットレディス最終日は、地元北海道出身の菊地、小祝さくらと、福岡出身の三ヶ島かなの3人が前日に続き最終組で激突。最後は三ヶ島との手に汗握る戦いの末、菊地が逃げ切り優勝を飾った。
最後まで揺るがなかった菊地絵理香のプレー
トレードマークのポーカーフェイスは、どんなときにも崩れない。
通算17アンダー単独首位の菊地を、2打差で三ヶ島、小祝が追いかける最終組は、前日と同じメンバー。そこに最初に仕掛けたのは、1組前でプレーする森田遥だった。菊地に5打ビハインドの12アンダーでスタートすると、3番、4番とバーディー先取。3つのバーディーを重ねて、通算17アンダーと猛追して折り返す。
バックナインに入ると、森田が失速。勝負は最終組に絞られる。
10番バーディーで18アンダーとした三ヶ島が1打差に肉薄。11番バーディーの菊地に対し、12番バーディーでさらに食い下がる。13番で、菊地がティーショットを右の林に打ち込んでボギー。ついに19アンダーで首位に2人が並んだ。
だが、14番で菊地が先に3メートルのバーディーパットを沈めたのに対し、三ヶ島は2メートルが入らずパー止まり。再び1打差がついた。
15番でも爪先下がりのきつい右のラフから菊地はグリーンをとらえパーセーブ。上り3ホールもパーでまとめ、再三のチャンスを決めきれない三ヶ島に1打差で逃げ切った。
史上2人目の北海道勢の地元優勝!次はナショナルオープン!?
北海道出身選手の地元優勝は、1998年に大場美智恵が東洋水産レディスで優勝して以来、24年ぶり2度目の快挙。
北の大地では今年は4試合が開催されるなど、以前に比べると大会数は多くはなっているものの、冬場はコースがクローズになってしまうことや、試合に出場するための資金がより多くかかることなどから、アマチュア時代には他地区より苦労が多いのも事実だ。
ツアーでは、吉川なよ子、増田姿子、谷福美・里美・明美の谷3姉妹、大場美智恵、大塚有理子らの先輩に続き、近年は菊地亜砂美・絵理香の姉妹、藤田光里、小祝さくらなどの活躍が目立っている。
地元での勝利はまったく意識しなかったという菊地だが、試合が進むにつれて、連日、そのことを質問されて意識せざるを得なくなった。「今日はずっと緊張しっぱなしで、その中で最後までうまくプレーできたので、プレッシャーに打ち勝った感じがしてすごく気分がいいです」と笑う。
「小祝さくらちゃんがプロ入りしてから、何か変えてくれたではないけど、そういうイメージがあります。どんどん北海道の選手が、後輩たちが活躍してくれるのはうれしいことなので、私も引き続き頑張ってる姿を後輩たちに見せれたらいいかなと思います」と、34歳のベテランらしい言葉も飛び出した。
1988年7月12日生まれで、34歳になったばかり。次々と若手が力を発揮する中、2012年に賞金ランキング43位で獲得して以来のシード権を守り続けている。これがツアー5勝目だが、未勝利の国内メジャー大会で活躍しているイメージが強い。
特に日本女子オープンでは、2013年からの9回でトップ10を外したのはわずかに2回だけ。2位が2回、3位が1回と優勝争いの常連でもあるだけに、そろそろビッグタイトルも意識したいところ。その可能性が十分に感じられるこの日の戦いぶりだった。
18番で勝負のパットを外した三ヶ島かな「震えました」
一方、プレーオフをかけた18番のバーディーパットが外れ、菊地の勝利が決まると、三ヶ島は思わず目元を抑えた。
「震えました」という勝負がかかる大きな1打。ウイニングパットになるかもしれないパーパットを先に沈めた菊地に対し、「絵理香さんは私が気が強いと思っているので、先にタップインしたのかなと。その期待に応えられなかったのが恥ずかしいし、悔しいです」と唇をかんだ。
昨年の最終戦、LPGAツアーチャンピオンシップリコーカップ以来の2勝目がかかった最終日。最後まで菊地に食らいついたが、あと一歩、及ばなかった。この4日間を「自信になると思います」と話した一方で、最終日の18ホールについては、「昨年よりは落ち着いてプレーできましたが、18番でビビっているようでは今後ダメかな」と振り返った。
今季は17試合に出場して、トップ10入りはこれが3試合目。シーズン後半に向けて、いい流れになるきっかけにしたいところだ。