◆国内女子プロツアー<楽天スーパーレディース 7月28日~7月31日 東急グランドオークゴルフクラブ(兵庫県) 6616ヤード・パー72>
勝みなみが、4日間ノーボギーという国内女子ツアー史上初の記録で5打差圧勝を飾った。楽天スーパーレディース最終日、後続に9打差の単独首位で臨んだ勝は、この日もボギーなしの1アンダーで回って通算22アンダー。稲見萌寧の追撃を振り切りツアー通算7勝目をゲットし、大会直前に出場が決まった次週の全英女子オープンに向けて、最高の弾みをつけた。
4度のピンチを乗り越えてのボギーなし
ツアー史上初の4日間・72ホールボギーなしの偉業を達成した勝みなみ。
2日目を終えた時点で、「いつかは1試合ボギーなしで回ってみたいという気持ちがあった」と、すでにそのことを意識していた。
この時点で2位とは5打差。そして3日目に8バーディーを奪った上、ボギーなしでプレーした時には、自ら「100点」と評価していた。
最終日は連日のバーディーラッシュがピタリと止まった。
独走ムードの9打差でスタートしたが、ショットが左右にブレた。「ボギーを打てない」と考えてしまったことで苦しくなった。
バーディーは、3番で4メートルを入れた1つだけ。ボギーを打ちそうなピンチは4回あった。
4番のパー5では2メートル、7番でも3メートル、12番では4メートルのパーパットをことごとく沈めた。優勝をほぼ手中に収めた17番でも3〜4メートルのパーパットをねじ込んで見せた。
「結構切れるラインだったので、打った時も思ったより切れてヤバいと思ったけど、そこから伸びてくれてカップに吸い込まれて安心しました。あそこは結構危なかったです」と振り返った。
プレー中は、「このホールもボギーを打っちゃいけない、というのはなくて、攻めのゴルフが自分なりにはできていたと思うけれど、パターがショートしてるのはそういう意識が働いていたのかも」と、1日の葛藤を打ち明けている。
原点回帰!以前の打ち方に戻してスイングが安定
「優勝できたのはうれしいですし、来週からイギリスに行って来るので、自信がついてイギリスに行けるのはよかったと思います」。
今大会前日に、繰り上げ出場が決まった全英女子オープン(8月4日~7日、スコットランド・ミュアフィールド)に向けて、勝にとっては自信を深める勝利にもなった。
元々、海外志向は強く、来季に向けて米ツアーQTを受ける気持ちも持っている。それだけに、4日前に全英女子オープンに出られると連絡が来て、母・久美さんがあっという間にすべての手配をしてくれたあとは、ひたすら前向きに考えている。
昨年の日本女子オープンで6打差圧勝を飾った後、なかなか勝てずにいた。今季はこれまでに7回のトップ10入りがあったものの、勝利には手が届かずじまい。6月あたりから調子が上向いてきたのは、スイングが固まってきたからだ。
「極端なオープンスタンスからインサイドアウト」のスイングで高校1年の時にツアー優勝を飾ったが、その後、「スクエアの方がカッコいい」と修正にとりくんだ。それを、元の形に直そうとしていたのが身についてきた。
「自分の持ち球を決めたスイングをしているので迷いがないというか、失敗してもこのくらいのミスですむというのがだいぶ固まってきた」と、安定したことが大きな結果に結びついた。
祖母に捧げる優勝
この春、亡くなった祖母への思いもあふれた。
ともに教員で多忙だった両親の代わりに、幼い頃は母方の祖父母が面倒を見てくれることが多かった。祖父の市來龍作さんがゴルフの道に導いてくれたのはよく知られているが、一緒に多くの時間を過ごした祖母の美江子さんは、勝が小学校5年生の時に倒れて寝たきりになっていた。
全国大会に出場するなど、ゴルフで結果が出るようになったのはその後とあって、美江子さんが応援に来たことは1度もない。今回は、その祖母が他界して初めての優勝だった。
「鹿児島に帰ることがなかなかないので、写真に向かって(報告する)」と語った勝。「自分が今、活躍しているのはおばあちゃんに見せられなかった。でも、どこかで見てくれたと思うので」と、亡き祖母をしのんだ。
ツアー7勝目を手土産に挑む全英女子オープンも、祖母はどこかで見守っているに違いない。